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コラム・事例・インタビュー

連載【弁護士監修】知らなきゃ損する!転職と仕事の法律のQ&A

契約社員のメリットとデメリットを教えてください。

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Q 契約社員のメリットとデメリットを教えてください。

新卒の就職活動のときに入社を希望していた憧れの会社が契約社員で中途採用をしています。チャレンジしたいものの、”契約社員”での採用となることに不安がないわけではありません。契約社員のメリットとデメリットは何ですか?(25歳/女性)

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A メリット・デメリットは人それぞれです。契約内容をしっかり確認し、自分のライフプラン、キャリアプランにとってメリットがあるかどうかを考えましょう。

契約社員の一番の特徴は、有期の労働契約であること、つまり雇用期間が決まっていることです。基本的に無期の雇用契約である、いわゆる「正社員」に対する概念ともいえます。

ただ、「契約社員」も「正社員」も法律上の概念ではなく、会社によって定義が異なります。そのため、応募したい求人が契約社員での採用となる場合は、具体的にどのような契約内容になるのかを確認しておいたほうがよいでしょう。

契約社員の労働条件は契約によって定められますので、労働時間、勤務する場所、仕事内容などはすべて使用者との話し合いのもとで決まります。残業しない契約や転勤しないという契約を結ぶこともできます。専門的なスキルがあれば、正社員の給与水準より高い給与を得られることもあります。半面、ボーナスや退職金がない、正社員が受けられる福利厚生を契約社員は利用できないなど、制度・待遇面で違いがあることも多いので、注意が必要です。

「期間限定でいいから働いてみたい」と思える会社で契約社員として働けるなら、それ自体メリットといえるかもしれません。ただ裏を返すと、契約期間が終われば、基本的にはその会社を去らなくてはなりませんから、もしずっとそこで働きたいのであれば、デメリットともいえます。

また、例えば「3年後に留学したいから、それまではお金を貯める」とか「この仕事で経験を積んで、2年経ったらそれを活かして別の仕事に転職する」というような明確なライフプランがある人には、最初から期間が決まっている契約社員という働き方は向いているでしょう。

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「契約社員」とはどんな雇用形態?

契約社員について、法的な定義は特にありません。一般的には、期間の定めのない労働契約を結んだ社員を正規社員(正社員)と呼ぶのに対して、そうでない社員を非正規社員と呼んでいます。非正規社員は、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を結んでいるのが通常で、契約・就労の形態・態様によって、パート、アルバイト、嘱託、契約社員などと呼ばれます。

有期労働契約については法律で定めがあり、原則として3年を超える契約期間を設定できないとされています。ただ、一つの契約期間が満了した後に、同様の労働条件で新たな契約を結ぶこと、いわゆる契約更新は可能です。

また、同じ会社での契約期間が通算で5年を超える場合、労働者が無期雇用への転換を希望すれば、会社はそれを了承しなければならないことも法律で定められています。そのため、契約更新は「しても最長で通算5年まで」と上限を設けている会社も少なくありません。

そのため、契約社員として働く場合は、「契約期間」「契約更新の可能性があるかどうか」「契約更新に上限があるかどうか」「契約更新して5年経った時にどうするつもりか」を、少なくとも労働契約を結ぶ前には確認しておくべきでしょう。

また、2024年4月からは、採用時に明示される労働条件に、有期労働契約の場合には更新上限の有無と内容、無期転換申込機会や無期転換後の労働条件が追加されます。労働条件通知書や労働契約書をしっかりと確認しましょう。

「無期契約社員」とは?契約社員なのに無期雇用なのでしょうか?

契約社員は不安定?

「契約社員はいつ解雇されるかわからない」というイメージを持っているかもしれませんが、契約社員の場合、その契約期間中については、「やむを得ない事由」がなければ解雇できない、と労働契約法で定められています。そして、一般的には、「やむを得ない事由」があるとして契約社員の解雇が有効と認められることは、無期雇用の正社員に対する解雇が有効と認められることよりも難しいと考えられています。つまり、契約社員との労働契約を期間の途中で解約することは、正社員を解雇するよりも難しいのです。

契約期間が満了した後に更新するかどうかは、会社と労働者のニーズが合わなければなりませんので、場合によってはそこで終了となることもあります。その意味では、無期雇用の正社員に比べれば、安定しているとはいえないのかもしれません。

ただ、有期労働契約を繰り返し更新し、実質的に無期雇用と同じようなものと判断される場合や、有期労働契約が更新されると期待することが道理にかなっているといえる客観的な事情がある場合には、会社が契約を更新しないことについて正社員の解雇と同等の「妥当な理由」が必要になります。

ここで扱った法律

労働基準法の第14条では、有期労働契約の期間について、「原則として3年」を超えて締結できないと定められています。つまり、契約社員の1回の契約期間は長くても3年間ということです。ただし、高度専門職および満60歳以上の人については、例外として5年を上限とする労働契約を結ぶことができます。

労働契約法の第17条では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と定めています。

また、第18条では、同じ会社で有期労働契約を更新して通算5年を超えた労働者が、その会社に無期雇用の締結を申し入れた場合、会社はそれを承諾したものと見なされる旨が定められています。

第19条では、有期労働契約が反復して繰り返された場合や、労働者が「契約は次も更新されるだろう」と期待する合理的な理由がある場合には、契約期間満了で更新しないこと(いわゆる「雇い止め」)に対して、正社員の解雇と同等の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」理由が求められることがルール化されています。

弁護士:藥師寺 正典(やくしじ・まさのり)

弁護士法人第一法律事務所 パートナー(社員弁護士)。経営法曹会議会員。企業の顧問業務をはじめ、労働審判・労働訴訟などの係争案件や、ユニオンなどとの団体交渉対応、労災対応、M&Aにおける労務デューデリジェンス対応など、経営者側での労働法務案件を数多く手掛ける。

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