Q. 慶弔休暇とはどんな制度ですか?誰でも取得できますか?
転職することが決まっていますが、転職直後に慶事があります。転職先には慶弔休暇があると聞いたのですが、どんな制度なのか、転職したばかりでも利用できる制度なのか教えてください。(25歳/女性)
A.慶弔休暇とは、慶事や弔事の際に特別休暇を取得できる制度のことです。
慶弔休暇とは、祝い事の「慶事」もしくは、お悔やみ事の「弔事」があったときに取得できる特別休暇のことで、多くの企業で導入されています。
会社員の休暇には法律で定められている「法定休暇」と、会社ごとに定められている「法定外休暇」の2つの種類があり、慶弔休暇は「法定外休暇」に分類されます。「法定外休暇」の規定は会社ごとに異なるので、詳しくは所属する会社の就業規則を確認しましょう。
慶弔休暇は入社後いつから取得できる?
慶弔休暇を入社後いつから取得できるかは企業ごとに異なります。慶事の場合は、入社後半年から、弔事の場合は入社後すぐに利用できるなどと定められていることが一般的です。
入社後すぐに慶事休暇を申請したいと考えている場合は、早い段階で相談しておくことをおすすめします。もし転職エージェントを利用している場合はカウンセリングの際に、担当のキャリアアドバイザーに事情を伝え、応募先への伝え方やタイミングを相談するとよいでしょう。一方、弔事休暇は事前に予測することが難しいため、取得の必要が出てきたタイミングで、できるだけ早く連絡しましょう。
慶弔休暇は誰でも取得できる?
慶弔休暇は雇用形態に関係なく、誰でも取得が可能です。正規雇用・非正規雇用の待遇の差を解消するために導入された「同一労働同一賃金」の考え方によって短時間・有期雇用労働者にも慶弔休暇の取得が保障されています。
しかし、週に2・3日勤務などの短日数勤務の場合は、勤務日を振り替える形で対応し、振り替えできない場合のみ慶弔休暇を取得できるといった形態の可能性もあります。このような形態については、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」にも記載があり、問題とならない例として挙げられています。
慶弔休暇を取る際の給料は有給or無給?
慶弔休暇の取得日に給与が発生するか否かも企業によって異なります。一般的には有給の企業が多いですが、あらかじめ就業規則や上司・人事へ確認しておきましょう。
無給の場合は慶弔休暇の代わりに年次有給休暇を使って休むなどの対応も考えられます。
慶弔休暇を取得できるケースと日数の例
慶弔休暇の対象となる出来事や支給日数は企業によって異なりますが、厚生労働省が推奨するモデル就業規則に則って、休暇の設定をしている企業が多いです。よくある例としては慶事の場合、本人の結婚であれば3~5日程度、配偶者の出産であれば1~3日程度取得できるなどが挙げられます。
一方、弔事の場合、配偶者が亡くなったときは7~10日、一親等にあたる父母や子どもであれば5~7日、兄弟姉妹や祖父母などの二親等であれば2~3日としている企業が多いです。
そのほか、慶弔休暇を取得できる範囲を三親等以内としていたり、それ以上でも取得できたりと企業によって内容は異なるため、取得前に就業規則を確認しておきましょう。
慶弔休暇の申請方法
慶弔休暇の取得方法は企業の規定によって異なります。
一般的には、申請書類に慶弔休暇の取得理由や日時といった必要事項を記入し、書類の提出とともに上司に報告を行います。弔事の際は会葬礼状(通夜・告別式の参列者に対するお礼状)などの提出を求められることも多いです。会葬礼状がない場合は、葬儀証明書などの提出を求められる場合もあります。ただし、弔事は急に発生するため、休暇の連絡のみ先に行えば、書類の提出は後からでも問題ないケースがほとんどです。
慶弔休暇の取得を上司にメールで伝える場合の例文
【慶事の場合のメールの例文】
件名:〇月〇日~〇月〇日 慶事休暇取得のお願い
本文:
お疲れ様です、○○です。
私事ではありますが、この度結婚する運びとなりました。
つきましては、結婚式と新婚旅行のため、
誠に勝手ではありますが〇月〇日~〇月〇日まで休暇をいただきたく思います。
その間の業務に関しては○○さんへの引継ぎを検討しております。
ご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いいたします。
【弔事の場合のメールの例文】
件名:〇月〇日~〇月〇日 弔事休暇取得のお願い
本文:
お疲れ様です、○○です。
〇月〇日に父が逝去しました。
急な申し出で申し訳ありませんが、〇月〇日~〇月〇日までの〇日間慶弔休暇を申請いたします。
葬儀及び告別式の詳細が決まり次第改めてご連絡差し上げます。
不在期間については〇〇さんに代理対応をお願いする予定です。
ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
慶弔休暇を取得する際の注意ポイント
特に弔事休暇は急に取得する可能性があるため、取得方法が分からない場合や、代理の対応を依頼したい場合は、まず上司に相談してみるとよいでしょう。慶事の際はいつ取得するべきかが事前に分かるため、業務量の調節のためにも、早めに上司に報告しておくのがおすすめです。
一週間以上取得する場合は、取引先へも連絡しておくと安心でしょう。その際、詳細な理由まで伝える必要はありません。不在期間、対応再開時期、急ぎの場合の代わりの対応者を連絡できるとよいです。もし、取引先への対処に困ったときは上司に相談しましょう。
休暇取得後は社内外の関係者に不在時のサポートへのお礼を伝えましょう。
【監修】社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)
昭和59年大阪府生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面の課題を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。
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