Q.転職後、住民税はいつから天引きされる? 手続きは必要?
現在、転職を考えています。転職した場合、毎月、給与から天引きされている住民税は、転職後の会社でいつから天引き開始されますか。また、退職前もしくは退職した後に、住民税についての手続きをする必要はありますか。(25歳/女性)
A.退職月が1~5月の場合は6月から、6~12月の場合は翌年の6月分から天引きされます。
転職先で住民税の天引きが開始されるタイミングは、退職する月によって異なります。退職月と天引きされるタイミングの組み合わせは、以下の表のとおりです。
退職月 | 天引きされるタイミング |
---|---|
1月~5月 | 当年の6月の給与 |
6月~12月 | 翌年の6月の給与 |
ただし、退職月にかかわらず、転職先で特別徴収(給与から天引きされること)を継続する場合は上記のタイミングより前に、給与から天引きされます。必要な手続きは、転職する前の会社と転職先の会社が行うもので、従業員本人は転職する前の会社の担当者に依頼すれば、その後すべき対応は特にありません。
詳しくはこちら! Q.特別徴収とは?普通徴収との違いや転職時の住民税の切替方法は?
転職する前の会社の担当者に依頼していない場合、転職後も普通徴収(自分で納付すること)になるので注意しましょう。
なお、以下の場合は、一度、普通徴収に切り替え、転職後に転職先の企業に手続きを依頼しましょう。
- 退職時点で転職先が決まっていない場合
- 転職先が決まっているが2カ月以上の離職期間が発生する場合
- 倒産などにより転職前の会社が手続きを行えない場合
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【退職時期別】住民税の手続き
退職時期によって住民税の手続き自体が大きく変わることはありません。ただし、いつ退職するかによって、「どのタイミング」で「いくら」の住民税を「どの方法」で支払うかは変化します。ここでは具体的な徴収方法の変化を、1月~5月退職と6月~12月退職、それぞれの場合に分けて解説します。
1月から5月までに退職する場合
1月〜5月の間に退職する場合、退職月から5月分までの住民税の総額が転職前の会社の最終給与または退職金から一括で天引きされます。ただし、一括徴収するに当たり、最終給与や退職金から住民税が一括徴収しきれない場合は、普通徴収になる点に留意しましょう。
その後、市区町村から送られてきた納付書一式を転職先の人事や総務担当に渡し、会社で特別徴収の切り替え手続きが完了していれば、特別徴収は転職先の6月分の給与から再開されます。ただし、5月など切り替えのタイミング近くに退職した場合は、手続きが遅れると6月から特別徴収を引き継ぐのが難しい可能性があるので注意しましょう。その場合は一度、普通徴収に切り替わり、手続きが完了したタイミングで特別徴収に戻ります。
6月から12月までに退職する場合
6月〜12月の間に退職する場合、次の3つから納付方法を選択できます。
- ①本人から申し出があった場合、退職月から翌5月分までの住民税を転職前の会社の最終給与または退職金から一括で天引きの上、翌6月分から転職先で特別徴収にする
- ②退職月の住民税のみを転職前の会社の最終給与または退職金から天引きの上、退職翌月から翌5月分までは普通徴収にし、翌6月分から転職先で特別徴収にする
- ③退職月の住民税を転職前の会社の最終給与から天引きし、退職月の翌月分から転職先で引き続き給与から天引きする
ただし、①の一括徴収にする場合、1月~5月退職のときと比較して金額が大きくなるため、総額を事前に確認しておくと安心でしょう。なお、最終給与や退職金から徴収できない場合は、普通徴収に切り替わります。
【離職期間の有無別】住民税の手続き
退職後の離職期間の有無によって、住民税の手続きは変化します。具体的な手続きについて、それぞれ解説します。
【離職期間:無】退職時点で転職先が決まっている場合の切り替え手続き
退職時点で転職先が決まっており、入社までに離職期間がない場合、基本的には転職前の会社の人事や総務担当者経由で「給与所得者異動届出書」を作成してもらう必要があります。具体的には、転職前の会社の人事や総務担当者が「給与所得者異動届出書」を記入の上、転職先の会社へ受け渡し、転職先の会社が必要箇所を記入して各自治体に提出するという流れです。
ただし、倒産などにより転職前の会社に依頼ができない場合は、転職先のみの対応で、手続きを行うこともできます。
なお、転職先でも特別徴収ができるように手続きをする場合でも、退職時期によっては、手続きが完了するまでの間、普通徴収として自分で支払わなければならない可能性があります。
特別徴収に切り替えたはずなのに、納付書が届いた場合は、以下記事もご覧ください。
【離職期間:有】退職時点で転職先が決まっていない・離職期間がある場合の手続き
退職時点で転職先が決まっていない、または転職先で働き始めるまでに離職期間がある場合は、転職までの間、普通徴収として自分で住民税を納付する必要があります。
その場合は、お住まいの自治体から「納付書」が届くので、それを利用して金融機関やコンビニで支払いをします。
なお、転職先が決まった場合は、転職先の人事や総務担当者に未納分の納付書を渡し、会社を通して手続きを行うことで、住民税を特別徴収に切り替えられます。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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