Q.特別徴収とは? 普通徴収との違いや転職時の住民税の切り替え方法も教えてください。
退職後、数カ月の転職活動を経て、先日転職先が決まりました。現在は、住民税を納付書で支払っているため、入社後は天引きで支払いたいと転職先に伝えたところ、「特別徴収に切り替える手続きを行う」と言われました。特別徴収とは何でしょうか。またどのような手続きが必要なのでしょうか。(26歳/男性)
A.特別徴収とは会社の給与から住民税を天引きする徴収方法です。
「特別徴収」とは、会社が住民税を給与から天引きし、従業員の代わりに市区町村に納める方法です。
会社に勤務している間は基本的に特別徴収されていますが、転職する際は転職する前の会社に「給与所得者異動届出書」(※)を記入し、それを転職先の会社に渡してもらうことを依頼する必要があります。
※従業員などの納税義務者が退職、転勤、休職、死亡などの理由により、給料の支払いを受けなくなった際に提出する書類
この手続きを行わないと、転職のタイミングで「普通徴収」(自分で住民税を納める方法)に切り替わってしまうので注意しましょう。また、転職先が決まっていない状態で退職する場合は手続きを行えないため、一度、普通徴収に切り替わります。
また、質問者さんのように退職後、一度、普通徴収に切り替わった納税方法を特別徴収に切り替えたい場合、基本的に申請書(※)の提出が必要です。申請書のダウンロードや記入は転職先の会社が行うことが一般的ですが、二重納税を防ぐために、別途、普通徴収の納付書や納税通知書などのコピーなどの提出を求められることがあります。このとき、納付期限を過ぎている住民税に関しては、自分で支払う必要があるので注意しましょう。
※名称は市区町村によって異なる
普通徴収とは?
普通徴収とは、住民税を自分で納める方法です。普通徴収では、自宅に送られてくる納付書で毎回支払う方法と、口座振替にする方法があります。
会社員として働いている場合、基本的に住民税は特別徴収で給与から天引きされています。普通徴収で住民税を納めるケースとしては、転職先が決まる前に退職した場合、退職から転職先に入社するまで2カ月以上の期間がある場合、また自営業などで会社に所属していない場合などが考えられます。
Q.転職後、住民税の納付書が届いたのはなぜですか? 支払う必要がありますか?
特別徴収と普通徴収の違い
特別徴収と普通徴収の違いは、特別徴収は、給与から天引きして会社が納めるのに対し、普通徴収は自分で納付する点です。
また、特別徴収は年12回払い、つまり毎月納めるのに対し、普通徴収では一括、もしくは6月・8月・10月・翌1月の年4回払いになります。
詳しく知りたい
特別徴収の手続きを行うと転職する前の会社や転職先に何が「ばれる」?
- 「転職する前の会社」に「転職先」がばれる可能性がある
- 「転職先の会社」に「長期休職」がばれる可能性がある
特別徴収の手続きによりばれる可能性がある情報は上記の2つです。それぞれ見ていきましょう。
「転職する前の会社」に「転職先」がばれる可能性がある
特別徴収の手続きを行うと、「給与所得者異動届出書」の手続きを行う過程で転職する前の会社に転職先を知られてしまう場合があります。転職先を知られたくない場合は、普通徴収への切り替えを希望するか、もしくは自身で直接転職先に「給与所得者異動届出書」を渡すことを伝えましょう。そうすることで、転職先を知られずに特別徴収の継続ができます。
「転職先の会社」に「長期休職」がばれる可能性がある
住民税は前年度の所得をもとに6月に更新されるため、転職する前の会社で前年度に長期の休職をしていた場合、住民税の控除額が少なくなります。そのため、休んでいた期間があることを知られてしまう可能性もあるでしょう。
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特別徴収に切り替えず、普通徴収で払い続けてもよい?
基本的に会社から給与をもらって働いている人は特別徴収が義務づけられています。このため、転職先で会社員として働く場合は特別徴収への切り替えが必須です。
ただし、これには一部例外もあり、以下の場合は普通徴収が認められます。
- 総従業員が2名以下の事業所
- 常時2名以下の家事使用人のみに給与を支払っている事業所
- 毎月の給与の支払いがない、もしくは給与の支払いが不定期な従業員
- 毎月の住民税額に対し、特別徴収できるほどの給与を得ていない従業員
- 他の会社で支払われる給与において特別徴収が行われている従業員
- 5月31日までに退職する予定の従業員
- 専従者給与支給の対象となっている従業員(個人事業主のみ)
- 給与所得者異動届出書を提出した従業員
この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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