A.インセンティブ=与えられたノルマや目標を達成した場合に支給される報酬
賞与(ボーナス)=会社の業績に応じて毎月の賃金とは別に会社から支給される一時金
インセンティブは、社員が達成した成果によって支給の有無や金額が変動します。報酬が金銭以外の形で与えられることもあるのが特徴です。賞与(ボーナス)は、企業の業績に応じて支給される報酬で、業績の良し悪しで金額が変動するものです。
インセンティブもボーナスも、従業員のモチベーション向上や成果に報いるために支払われる追加給与ですが、目的と与えられる条件が異なります。
インセンティブは、決まった目標や成果を達成した際に支払われる、成果主義に基づいた報酬です。例えば、売り上げ目標を超えた場合や、プロジェクトの成功時など、明確な条件を満たしたときに支給されます。インセンティブは従業員の努力と成果を直接的に評価し、その達成度合いに応じて変動することも特徴です。
インセンティブの具体例としては、以下のようなものがあります。
- 販売インセンティブ:商品やサービスの販売目標を達成した場合に支給される報酬
- プロジェクト完遂インセンティブ:特定のプロジェクトを期限内に完了した場合の報酬
- 顧客満足度インセンティブ:顧客満足度調査で高評価を得た場合に支給される報酬
- コスト削減インセンティブ:業務効率化によりコスト削減目標を達成した場合の報酬
これらのインセンティブは、従業員の具体的な行動や成果を促進し、会社の目標達成に直接的に貢献することを目的としています。
一方、ボーナスは会社の業績や従業員の勤務態度、勤続年数などに基づいて支払われることが多い、一種の臨時給与です。ボーナスは、一般的に年に2回(例:夏と冬)など、定期的に支払われます。
ボーナスは従業員の長期的な貢献や会社への帰属意識を高める効果があり、日本の企業文化において重要な役割を果たしてきました。
インセンティブとは異なり、特定の成果に直結しているだけではないというのが違いと言えるでしょう。ボーナスの特徴として、支払われる金額が会社全体の業績や経営状況によって変動することが挙げられます。
つまり、インセンティブは個々の成果に基づいて支払われる変動的な報酬。ボーナスは定期的な支払いで、個人の成果だけでなく会社全体の状況にも影響を受ける報酬です。
企業によって異なるものの、一般的なインセンティブとボーナスの主な違いを表にまとめると、以下のようになります。
特徴 | インセンティブ | 賞与 |
---|---|---|
支給基準 | 個人の特定の成果や目標達成 | 会社全体の業績と個人評価 |
支給頻度 | 目標達成時(不定期) | 定期的(多くは年2回) |
支給方法 | 金銭以外でも可能 | 現金のみ |
金額の変動 | 成果に応じて大きく変動 | 会社業績により変動するが比較的安定 |
主な目的 | 短期的な成果の促進 | 長期的な貢献の評価と従業員の定着 |
そのほかインセンティブと似ているようで意味が違うワード
インセンティブと似たような意味で使われているワードは、賞与のほかにも「歩合」や「手当」などがあります。厳密にはどちらもインセンティブとは違う意味合いを持ちます。求人を見るときの参考にしてください。
インセンティブとそれらのワードとは、具体的に何が違うのかを見ていきましょう。
歩合との違い
歩合とは、実績に応じて支払われる給与のことで、求人情報には「完全歩合制(フルコミッション制)」や「月給+歩合制」などと記載されています。例えば、商品を1つ売るごとに5,000円が支給されるといったものです。
インセンティブは、目標を達成して初めて報酬が発生する制度であり、目標が5件と決められていれば、5件販売するまで報酬の発生はありません。そのため歩合とインセンティブには、報酬が発生する条件が実績に応じたものか、目標達成によるものかいう違いがあります。
歩合制の具体例を挙げると以下のようなものがあります。
- 不動産営業:成約した物件の売買価格の一定割合
- 自動車販売:販売台数に応じた金額
- 保険営業:契約件数や保険料に応じた報酬
手当との違い
手当とは、基本給に加えて支給される金銭のことです。一般的に、役職手当・家族手当・通勤手当などがあり、毎月決まった金額で支給されます。
手当はインセンティブとは異なり、努力や成果への「対価」としての役割がありません。従業員の働きぶりや実績とは関係なく支給額が決定します。そのため、成果主義のインセンティブとは意味合いが大きく異なるのです。
手当は従業員の生活支援や特定の状況に対する補償として機能し、基本給を補完する役割を果たします。インセンティブが成果に基づく変動的な報酬であるのに対し、手当は従業員の状況や会社の福利厚生制度に基づいて支給される安定的な報酬と言えます。
【監修】ゆめみ労務管理事務所(ゆめみろうむかんりじむしょ)/代表 関口 恵太(せきぐち・けいた)
平成3年群馬県生まれ。学生時代に社会保険労務士の存在を知り、開業を目指すため資格を取得。社会保険労務士法人に勤めた後、27歳でゆめみ労務管理事務所を開業。クラウドを活用した人事・労務の課題解決、給与設計、助成金申請を得意とする。埼玉県熊谷市を拠点としながらも全国に多数の顧問先を抱え持つ。うた行政書士事務所 代表行政書士も兼任。
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