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転職Q&A(お金) #税金 #給与

Q.インセンティブには税金がかかるの?

求人票に「年収500万円、インセンティブあり」とありました。年収から税金が引かれるのは知っていますが、インセンティブからも税金は引かれるものなのでしょうか?(26歳 男性)

A.インセンティブも課税対象となります。ただし非課税のものもあります。

業務を行った見返りとして受け取る金銭や物品などのインセンティブは課税対象となり、所得税がかかります。成果に応じて支払われる給与と同じ扱いになるため、報酬の金額に関係なく所得税の対象になります。

インセンティブは、従業員のモチベーション向上や業績向上を目的として導入されることが多く、年収を構成する重要な要素の一つとなっています。年収とは1年間に得る収入の総額を指し、通常は基本給、諸手当、賞与に加えて、多くの場合インセンティブも含まれます。

しかし、受け取るインセンティブの種類によっては非課税になるものもあります。具体的に何が課税対象で、何が非課税になるのかを見ていきましょう。

そもそもインセンティブとは?

報奨金の場合

報奨金とは、従業員が企業に対して貢献したことを評価されて支払われる金銭のことです。従業員が優秀な成績を出したときなどに支給されます。

インセンティブを報奨金として受け取った場合、報奨金額に関係なく所得税の対象になります。複数人でチームを組み、好成績を出したことでチーム全体に報奨金が支給される際も、分配されて受け取るのであれば課税対象になります。

報奨金にかかる税金は、通常の給与所得と合算して計算されます。基本給(月給)が30万円で、年1回50万円の報奨金がある場合、年間の総所得は410万円(30万円×12カ月+50万円)となります。この総所得に基づいて所得税が計算されるため、報奨金を受け取った月を含む当年度は通常より税負担が増加する可能性があるでしょう。

このように、報奨金は年収を押し上げる効果がある一方で、税負担も増加させる可能性があります。成績が優れた従業員を表彰する際に個人へ支払われる表彰金も同様です。労働の対価と判断されるものは課税対象となると覚えておくと良いでしょう。

社内ポイント・商品券の場合

商品券やクオカード、カタログギフト品などの換金性が高い物品も、課税対象になります。しかし、永年勤続者の記念品等で商品券やクオカードなどを受け取った場合は、条件を満たせば税金はかかりません。

永年勤続者の記念品等で非課税になるには、次の4つのすべてに該当している場合になります。

  • おおむね10年以上勤続した従業員であること
  • 勤続期間と照らし合わせて妥当な表彰品の額であること
  • 前回の表彰からおおむね5年以上の間隔が空いていること
  • 現物に代えて金銭で表彰していないこと

例えば、年間の基本給が500万円で、課税対象となる社内ポイントや商品券を10万円分受け取った場合、その年の年収は510万円となります。一方、非課税条件を満たす永年勤続表彰で10万円分の商品券を受け取った場合、この10万円は年収に含まれません。

また創業記念や工事完成記念などで商品券を支給されるのも同様に非課税になりますが、その場合も以下3つのいずれの条件に該当していなければなりません。

  • 支給する記念品が、社会一般に通用している常識や見解に照らして、ふさわしいものであること
  • 記念品の価値が1万円以下であること
  • 前回の記念からおおむね5年以上の間隔が空いていること

条件に一つでも外れてしまい、経済的利益ではないと判断されてしまうと課税対象になってしまうので注意してください。

報奨旅行の場合

従業員のレクリエーション旅行や研修旅行など、報奨旅行に該当する場合は、条件によって課税・非課税が変わります。

国税庁が定めている、報奨旅行が非課税になる条件は下記のとおりです。

  • 私的な旅行でないこと(目的があること)
  • 旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合、滞在期間が4泊5日以内であること(=移動時間は含まれない))
  • 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること

研修旅行の場合、会社の業務を行うために直接必要であれば課税対象とはなりませんが、観光を目的とした旅行や、ツアー会社があっせんする団体旅行など、業務に必要でない場合は給与所得扱いとなるため、所得税を支払う必要があります。

出典元:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

非課税になる条件ではない報奨旅行では、例えば1人当たり20万円相当の海外旅行だった場合、年収が20万円増加したと見なされ、所得税がかかります。なお、報奨旅行に含まれる金額は以下が含まれます。

  • 交通費(航空券、バス代など)
  • 宿泊費
  • 食事代
  • 観光や娯楽にかかる費用

これらの合計額が、課税対象となる経済的利益として扱われます。

株式

株式の場合、持っているだけでは税金はかかりません。しかし、配当金が年間20万円を超える場合や、企業から付与してもらった株式を売買した際の利益は課税対象となります。

株式の売却で得た利益は給与と合算されるため、所得税が課せられるのです。例えば、売却で得た譲渡益に対して税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。実際の利益がすべて手元に来るわけではないことを把握しておきましょう。

ストックオプションについても税金が発生します(※)。権利確定時には株価と権利行使価格の差額に対して給与所得として課税されます。権利行使時には追加の課税はありませんが、株式売却時には売却益に対して譲渡所得税が課税されます。
※権利行使時の課税を繰り延べる税制適格ストックオプションという制度もあります。

ストックオプションの税金詳細は以下のとおりです。

  • 権利取得時:追加課税なし
  • 権利確定時:追加課税なし
  • 権利行使時:株価と権利行使価格の差額に課税(給与所得)※具体例を下記に記載
  • 株式売却時:売却益に対して譲渡所得税(20.315%)
  • 配当金:年間20万円超で確定申告必要

出典元:
No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について|国税庁
No.1490 一時所得|国税庁
確定申告が必要な方|国税庁

※具体例:発行会社の株価等が以下の場合

  • ストックオプションの付与時:200
  • ストックオプションの行使時:800(権利行使価額200)
  • 権利行使により取得した株式の譲渡時:1,000
税制非適格ストックオプション(無償・有利発行型)のイメージ

画像出典元:ストックオプションに対する課税(Q&A)

これらの税金の仕組みを理解し、適切に管理することが重要です。必要に応じて税務の専門家に相談することをお勧めします。

【監修】ゆめみ労務管理事務所(ゆめみろうむかんりじむしょ)/代表 関口 恵太(せきぐち・けいた)

平成3年群馬県生まれ。学生時代に社会保険労務士の存在を知り、開業を目指すため資格を取得。社会保険労務士法人に勤めた後、27歳でゆめみ労務管理事務所を開業。クラウドを活用した人事・労務の課題解決、給与設計、助成金申請を得意とする。埼玉県熊谷市を拠点としながらも全国に多数の顧問先を抱え持つ。うた行政書士事務所 代表行政書士も兼任。

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