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転職Q&A(お金)#雇用保険#健康保険

Q. 求人情報にある「社会保険完備」とは、どういう意味ですか?「社会保険あり」との違いは?

転職活動中なのですが、求人でよく「社会保険完備」や「社会保険あり」という言葉を見かけます。どういう意味でしょうか? また「社会保険完備」と「社会保険あり」の違いは何でしょうか?(25歳/男性)

A.社会保険完備とは健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険の4つすべてに加入できるという意味です。

社会保険とは、病気やケガなどのリスクから労働者を守るための最低限の公的な保障制度です。広い意味での社会保険には大きく分けて「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つがあります。

このうち「健康保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」の4つに加入していることを「社会保険完備」といいます。例えば、「健康保険」「厚生年金保険」に加入していないパートタイマーの求人情報には、社会保険完備と記載することはできません。企業に勤める正社員であれば、基本的にすべての社会保険への加入が義務づけられています。
また、「労働保険あり」と記載がある場合、「労災保険」「雇用保険」の2つのみに加入していることを指します。中には、労災保険と雇用保険だけに加入しているという意味で「社会保険あり」という表現を使う事業主もいます。

なお、「介護保険」は40歳以上の労働者が「健康保険」とあわせて加入するものです。自分で加入するかどうかを選択できるものではなく、年齢によって加入が義務づけられることになります。

社会保険
完備
労災保険
あり
内容
健康保険 病気やケガによる医療機関利用時の医療費負担を軽減するための保険
厚生年金
保険
老後や障害などにより働けなくなったり収入を得られなくなったりした際の損失を保証するための保険
労働者
災害補償
保険
(労災保険)
勤務中・通勤途中の病気や怪我などによる損害を補償するための保険
雇用保険 失業時の補償と雇用に向けた援助を行うための保険

①健康保険

健康保険は、病気やケガで医療機関を利用した際に支払う医療費負担を軽減するための保険です。定められた保険料を勤務先と折半する形で支払うことで、医療費自己負担額が1~3割になります。医療費以外にも、出産に際して働けなかった分の給与を一部補償する「出産手当金」、病気やケガで働けなかった分の給与を一部補償する「傷病手当金」などの手当金もあります。

健康保険にはいくつかの種類があり、一般企業に就職する場合、各健康保険組合による組合健保か、全国健康保険協会による協会けんぽに加入することになります。

<加入条件>

●正社員・契約社員・派遣社員

  • ・75歳未満のすべての正社員
  • ・75歳未満で1週および1月の所定労働時間が常時雇用者の4分の3以上の従業員

●パート・アルバイト

・以下5つのすべてに当てはまる従業員

  • ・勤務先の事業所の従業員数が101人以上※1であること
  • ・週の所定労働時間が20時間以上であること
  • ・賃金月額が月8.8万円以上であること
  • ・1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数
  • ・学生ではないこと

※1 2024年10月より51人以上に変更

②厚生年金保険

厚生年金保険は、会社員や公務員のみが加入する年金制度です。20~60歳のすべての国民に加入義務のある国民年金に追加する形で、勤務先の事業所を通して加入します。

国民年金の保険料に加えて、毎月標準報酬月額の18.3%を勤務先と折半する形で支払うことで、65歳以降で「老齢厚生年金」を受給できます。そのほか、病気やケガにより労働能力が低下した場合には「障害厚生年金」が、死亡した場合には「遺族厚生年金」が、それぞれ補償として支払われます。

<加入条件>

●正社員・契約社員・派遣社員

  • ・70歳未満のすべての正社員
  • ・70歳未満で1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の従業員

●パート・アルバイト

・以下5つのすべてに当てはまる従業員

  • ・勤務先の事業所の従業員数が101人以上※1であること
  • ・週の所定労働時間が20時間以上であること
  • ・賃金月額が月8.8万円以上であること
  • ・学生ではないこと

※1 2024年10月より51人以上に変更

③労働者災害補償保険(労災保険)

労災保険は、勤務中や通勤途中に病気になったりケガを負ったりした場合に、その際の損害を補償する保険制度です。病気やケガだけでなく、業務によって何らかの障害を負ったり、死亡した場合にも保険が給付されます。

通常、医療費は健康保険によって一部軽減されていますが、勤務中および通勤途中の病気・ケガは労災保険の適用範囲となり、自己負担が発生しません。また保険料も、健康保険や厚生年金保険とは異なり、勤務先が全額負担します。

<加入条件>

・パート・アルバイトを含むすべての従業員

④雇用保険

雇用保険は、労働者に安定した生活や雇用を提供することを目的とした保険制度です。被保険者が失業、休業した場合に手当を受けられるほか、再就職やキャリアアップに向けた教育訓練を受ける際にも給付金が支給されます。会社都合による離職はもちろんのこと、自己都合の退職時や育児休業時、介護休業時も給付の対象です。

雇用保険料は、毎年定められる「雇用保険料率」と給与をかけあわせることで算出され、勤務先と労働者で分担する形で支払います。

<加入条件>

・雇用形態にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ、31日以上引き続き雇用される予定がある従業員

求人票で社会保険の有無を確認するコツ

社会保険の有無は求人票の「福利厚生」「待遇」の欄にあることが多いです。記載の仕方は、「社会保険完備」という文言が書かれている場合や、表の形で各項目に〇や有がついている場合など、企業や求人サイトのフォーマットによってさまざまあります。

しかし実は、社会保険の有無を求人票に記載しなくてはならないという決まりはありません。応募先の条件として重要な観点の一つなので、記載されているケースが多いですが、求人票に記載がないが社会保険完備というケースもあります。選考時に直接企業の担当者へ聞くほか、日本年金機構のホームページにある「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」を利用するなどして調べましょう。

dodaの求人票の場合、社会保険の有無は福利厚生欄や待遇欄へ記載していますので、ぜひご確認ください。

【監修】社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)

昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。

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