Q. 「歩合制」とはどのような仕組みなのでしょうか?メリット・デメリットを教えてください。
求人情報の給与欄に「月給20万円+歩合制」や「完全歩合制」と書かれていることがあります。この「歩合制」とは、具体的にどのような仕組みでお金が支払われるのですか? 歩合制で働くことのメリット・デメリットについても教えてほしいです。(22歳/男性)
A.歩合制とは成績や売り上げに応じて給与が支給される給与形態のことです
「歩合制(ぶあいせい)」とは、働くことで生み出された成果や売り上げに応じてお金が支払われる仕組みのことです。
例えば、あなたが1カ月に500万円を売り上げたとしましょう。支払い方は企業によって異なりますが、売り上げの1%が歩合給として還元される仕組みなら、5万円の給与を得ることができます。固定給の場合は、1カ月の売り上げが100万円でも500万円でも給与は一定です。
固定給、固定給+歩合制、完全歩合制(フルコミッション)の違い
歩合制には大きく分けると「固定給+歩合制」「完全歩合制」の2種類があり、その差は「必ずもらえる給料があるか否か」という点です。求人情報に「月給20万円+歩合給」などと書かれている場合は「固定給+歩合制」。毎月、決められた時間を働けば20万円が必ず給料として支払われ、その上で成績や売り上げに応じた金額がプラスされる仕組みです。
一方、「完全歩合制」とは、必ずもらえる給料が0円で支払われる金額がすべて成果に応じて決まる形態のことを指します。たとえ1日10時間働いたとしても、売り上げがなければ収入は得られません。完全歩合制は「フルコミッション制」とも呼ばれます。
歩合制が多い職種は?
歩合制を取り入れることが多い職種として、保険営業、不動産営業、自動車ディーラー、タクシードライバー、理美容師、エステやネイルサロンのスタッフ、フリーランスのデザイナー・ライターなどが挙げられます。
これらに歩合制がよく採用されるのは、個人の能力や働きが仕事の業績に大きく影響する場合が多い職種だからです。
逆に、個人では完結しづらい企画職や事務職では、ほとんど見られない仕組みです。
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歩合制のメリット・デメリットは?
【歩合制のメリット】成果次第で収入を上げられる
歩合制の最も大きなメリットは、収入に上限がないことです。成績を上げれば上げるほど、収入を上げることができます。例えば、売り上げの1%が歩合給として加算されると仮定した不動産営業の場合、3,000万円の物件を1件売ることで、固定給に30万円がプラスされた収入を得られることになります。5件を売れば150万円のプラスです。
固定給の場合、収入を増やすためには、年に数回の昇給を待つか、労働時間を増やして残業代をもらうしかありません。それに比べると、実力次第でいくらでも収入を上げられる点は、歩合制の大きなメリット。短期間で収入をアップさせたい人、年齢に関係なく成果に応じた収入を得たい人に適しています。
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歩合制はモチベーションを高く維持できる制度でもあります。歩合給のことを「インセンティブ」と呼んでいる企業もたくさんありますが、ここではインセンティブ(incentive)は「目標を達成するための動機や刺激となるもの」というニュアンスで使われています。この意味のとおり、仕事に対するモチベーションが上がりにくいシーンでも、「インセンティブがつくからもうひと頑張りしよう」と、自分の気持ちを鼓舞することができるのです。
【歩合制のデメリット】収入の変動幅が大きくなる
歩合制のデメリットは、成績や売り上げに応じて給与が変動するため、収入を安定させることが難しいという点です。先に挙げた売り上げの1%が歩合給として加算されると仮定した不動産営業の場合、5件成約した月と1件しか成約しなかった月とでは、収入がまったく異なります。個人事業主(フリーランス)の人に適用されることがある完全歩合制なら、最悪の場合、月の収入がゼロになることもあります。
また、個人の成績や売り上げに応じて給与が支給される仕組みなので、結果としてチームワークが高まりにくいデメリットもあります。チームで働いていると、お互いにフォローをし合うことは当たり前です。しかし、歩合制だと個人プレー色が強まり、隣の人が困っていてもお構いなしという風潮が生まれがち。競争意識の高い職場で、人間関係がギクシャクしてしまうケースもあります。
歩合制のメリット・デメリットを理解しつつ、自分にあった働き方ができる仕事選びをしてみましょう。もし、自分に合った求人選びに迷ったり、転職の進め方が分からない場合は、dodaのキャリアカウンセリングをご利用ください。
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【監修】社会保険労務士法人クラシコ/代表 柴垣 和也(しばがき・かずや)
昭和59年大阪生まれ。人材派遣会社で営業、所長(岡山・大阪)を歴任、新店舗の立ち上げも手がけるなど活躍。企業の抱える人事・労務面を土台から支援したいと社会保険労務士として開業登録。講演実績多数。
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