
更新日:2025/1/31

内部監査とはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説

近年では、コンプライアンスやガバナンスの強化が企業経営で優先度の高い課題になっており、組織の健全な運営と成長を支えるために「内部監査」が重要な役割を果たしています。
そんな内部監査の具体的な業務内容については、詳しく知らないという方も多いかもしれません。
この記事では、内部監査の仕事内容や、やりがい、厳しさ、年収まで幅広く解説します。内部監査への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
内部監査とは?

内部監査とは、監査の対象となる部門とは別の担当者が、社内で法令や社内規定に違反する行為や潜在的なリスクがないか、日々の業務が適切かつ効率的に行われる仕組みがあるかを客観的な立場で調査・評価して助言を行ったり、経営陣の意思決定をサポートしたりする業務のことです。内部監査の担当者は「内部監査人」や「内部監査員」と呼ばれます。
内部監査は健全な組織運営のための重要な役割を担っており、法的に実施が義務づけられている上場企業・大企業以外でも、自主的に実施する企業が増えてきています。内部監査を実施するタイミングや間隔には決まったものはありませんが、年に1~2回、定期監査を行うことが一般的です。
内部監査の対象範囲には、組織のすべての業務活動が網羅される必要があります。そのため、対象部門は社内のすべての部門や資本関係のある関連会社にも及びます。
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内部監査の仕事内容
内部監査の流れや具体的な活動は、大まかには以下のような流れで行われます。
- 1.監査計画
- 内部監査責任者・内部監査人の任命や、監査対象部門、実施する頻度・スケジュールなどを検討・決定する
- 2.実地調査に向けた準備
- 内部監査計画書を作成し、関係者に周知する(不正を調査する場合は周知せず抜き打ちで行うこともある)。ヒアリングする内容をまとめたチェックシートを作成し監査チームで共有する
- 3.実地調査の実施
- 対象部門に出向いてヒアリングや資料の収集を行い、チェックシートをもとに監査基準が満たされているかを確認する
- 4.報告、是正処置
- 内部監査報告書を作成し、監査対象部門や経営者・取締役への報告を行う。不適合と判断された事項について、対象部門へ改善提案をし、その後も改善の取り組み状況をフォローする
内部監査に求められる能力・素質
内部監査に関わる技術や専門知識はもちろんですが、それ以外に大切な能力や素質にはどのようなものがあるのかを解説します。
倫理観・正義感
内部監査は悪い点を指摘することに躊躇したり、対立を恐れたりする人には向かない仕事です。監査対象部門の担当者や経営陣に対しても忖度せずに是正を求めることができる強い倫理観や正義感が求められます。
コミュニケーション能力
監査対象部門の担当者とコミュニケーションを取り、理解を得たり信頼関係を築いたりすることは有効な内部監査を実施する上で不可欠です。もし、内部監査を実施する意義が現場で理解されていなければ、内部監査による指摘事項も「面倒なこと」だと受け止められ、改善に向けた本質的な取り組みが期待できないためです。なぜ改善が必要なのか、不正行為が発覚したらどのような結果になるかを論理的に説明できる能力が求められます。
内部監査のやりがい
内部監査は、組織の業務プロセスや内部統制が適切に機能しているかを確認・評価し、組織の健全性を保つために重要な役割を果たします。内部監査を実施することによってトラブルを未然に防ぎ、組織全体の土台を強固にすることに貢献できるため、会社を仕組みから支えているという実感が得られるでしょう。
内部監査の厳しさ
内部監査はほかの部門の不正や誤りをチェックする役割であるため、理解が得られていない場合には協力を拒まれたり、改善提案をしても聞き入れてもらえなかったりすることもあるようです。また、コミュニケーションが重要な内部監査は、部門の担当者や経営陣とそりが合わないと実務に影響することが少なくなく、信頼関係が構築できなければ業務を円滑に進めるのが難しくなることもあります。
内部監査になるには?
内部監査は業務の専門性の高さから、即戦力となる経験者が求められる場合が多い一方で、なり手が非常に少ない状況のため、未経験でも可能性が閉ざされているわけではありません。経理・財務・法務といった管理部門の経験者、コンサルティングファームや監査法人の出身者、ITシステム・ネットワーク・サイバーセキュリティー分野に精通している人などは経験を活かしやすいと考えられます。
内部監査への転職で求められる資格は求人によってケース・バイ・ケースですが、有利となり得るものとして、内部監査士(QIA)、公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)やシステム監査技術者などが挙げられます。
内部監査のキャリアパス
内部監査は経営陣との距離が近く、監査業務を通じて組織全体を見渡す視点を持つことができるため、内部監査の経験者を将来の幹部候補と位置づけている企業もあります。しかし内部監査の専門家はまだまだ少ないため、どの企業でも共通しているキャリアパスがあるわけではありません。
内部監査の年収
平均年収
平均年収
746.0万円
「企画/管理」系職種の平均年収は547.5万円
「内部監査」の平均年収は746.0万円で、「企画/管理」系14職種中トップです。
年収分布
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は1,000万円以上の22%で、次いで400万円台と600万円台が14%となっています。年収分布の中で1000万円以上の割合が最も高くなっているのは職種図鑑全体でも6職種しかありません。
年間ボーナス
年間ボーナス
183.0万円
夏のボーナス…91.4万円
冬のボーナス…91.6万円
「内部監査」の年間ボーナスは183.0万円で、「企画/管理」系14職種中トップです。
内部監査に転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
39.5歳
「企画/管理」系職種の平均年齢は34.2歳
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
「内部監査」に転職した人の平均年齢は39.5歳です。年齢の内訳を見ると、最も多い年齢層は40歳以上で44%となっています。
前は何の仕事をしていた?
順位
職種
割合
-
1
37.6%
-
2
16.1%
-
3
6.5%
-
4
4.3%
-
5
3.2%
-
5
3.2%
転職前の職種も同じ「内部監査」が37.6%で最多です。2位以下も同じ「企画/管理」系職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をした人が多いことが分かります。
何回目の転職だった?
「内部監査」への転職がはじめてだった人が31%で最多となりましたが、ほかの職種と比べるとはじめての転職の割合はやや少なめです。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
日商簿記検定 3級
14.4%
-
2
CIA(公認内部監査人)
13.9%
-
2
日商簿記検定 2級
13.9%
-
4
宅地建物取引士
12.9%
-
5
ITパスポート
12.4%
-
5
QIA(内部監査士)
12.4%
「内部監査」になるために必須の資格はありませんが、仕事に直接役立つと考えられる「CIA(公認内部監査人)」など、自身のキャリアの可能性を広げるためのさまざまな資格を取得している傾向が見られました。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
720.7点
「内部監査」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は720.7点で、「企画/管理」系14職種中10番目です。
内部監査からの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
57.4%
-
2
11.5%
-
3
6.6%
-
4
4.9%
-
4
4.9%
「内部監査」の次に就いた職種も同じ「内部監査」が57.4%で最多です。2位以下も同じ「企画/管理」系職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をする人が多いことが分かります。
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■平均年収
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2023年09月~2024年8月
- 有効回答数
- 約400,000件
■TOEIC(R)テストの点数
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2023年09月~2024年8月
- 有効回答数
- 約50,000件
■持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2023年09月~2024年8月
- 有効回答数
- 約100,000件
■転職前の職種、転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2023年09月~2024年8月
- 有効回答数
- 約40,000件
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のモニターに対し実施、
doda会員登録の状況については不問)
- 調査期間
- 2024年8月
- 有効回答数
- 15,000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施