不動産営業/建設営業とはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説
住宅の売買や建物の建設など、不動産に関わる「不動産営業/建設営業」。一口に営業と言っても扱う商材によって仕事内容はさまざまです。
この記事では不動産営業/建設営業の種類や、仕事内容や年収、キャリアパスなどの転職事情について解説しています。未経験から初めて不動産・建設業界の営業に転職しようと思っている人や、不動産業界・建設業界の中でもどの営業が自分に合っているのか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
不動産営業/建設営業の仕事データ
収入
年収
437.0万円
「営業」系職種の平均年収は450.7万円
年間ボーナス
89.4万円
残業・休日
月間残業時間
22.2時間
年間休日
115.9日
不動産営業/建設営業とは?
「不動産営業」とは、戸建てやマンション、店舗など、すでに建てられた物件などの販売のほか、賃貸・売買の仲介を行う営業を指します。
一方、「建設営業」とは、土地所有者に不動産収益物件や住宅を新たに建設してもらうための営業、または公共事業の入札を行う営業を指します。
不動産業界、建設業界とは?
不動産営業/建設営業の仕事内容に理解を深めていただくために、まず不動産業界、建設業界について説明します。
不動産業界
不動産業界は、住宅・ビル・商業施設などの出来上がった建物や土地の売買、賃貸、管理などに関わる業界です。企業の種類としては、総合不動産会社、デベロッパー、販売会社、仲介会社、管理会社、不動産テック会社などがあります。
建設業界
建設業界は、住宅やビルなどの建築、建物の内部の施工、ダムや道路などのインフラ整備、土木工事などの建設に関わる業界です。企業の種類としては、ゼネコン・サブコン(専門工事を請け負う企業)・マリコン(海洋土木専門のゼネコン)、ハウスメーカー、工務店、設計会社、建設機械メーカー、仮設資材メーカーなどが挙げられます。建設するための機械、材料を扱う企業も建設業界に含まれます。
不動産営業の種類と仕事内容
不動産営業の種類は、大きく分けて「販売」「賃貸仲介」「売買仲介」の3つが挙げられます。それぞれの仕事内容を解説します。
販売
不動産販売の営業は、自社やグループ会社が所有する戸建て住宅や分譲マンションの販売、または自社が建築した住宅の個人顧客向け販売が主な仕事です。
営業活動では主に、住宅展示場のモデルルームに来場した顧客に物件を紹介します。購入希望者を待つだけではなく、電話やメール、チラシ、SNSを活用し、見込み客に積極的に商品を売り込むこともあります。
物件を案内し、商談を経て契約が成立した後は、住宅ローンの手続きと契約締結を行い、物件の引き渡し・アフターケアまで担当します。
不動産販売の営業は、契約1件当たりの売り上げ額が大きいため、実績を上げれば高いインセンティブを得られるチャンスがあるのが魅力です。
不動産販売の営業が所属する会社は、総合不動産会社、デベロッパー、販売会社などが挙げられます。
賃貸仲介
賃貸仲介の営業は、店舗に来店した顧客の希望条件をヒアリングし、物件の紹介や内見の同行、商談、契約手続きなどを担当します。賃貸マンションやオフィス・店舗などを借りたい人と物件のオーナーをつなぐ仕事といえるでしょう。自社で所有する不動産を取り扱うこともあります。
賃貸仲介の営業は主に不動産仲介会社に所属します。
売買仲介
売買仲介の営業は、店舗を訪れた顧客や、Webサイトなどを見て問い合わせてきた顧客の希望条件をヒアリングし、物件の紹介や内見の同行、商談を行います。物件を売りたい人に対しては、いくらで売りたいのかを相談・決定し、物件情報をWebサイトやチラシに掲載します。このように、売り手と買い手を結びつける仕事といえるでしょう。売買が成立すれば、契約やローンの締結などがスムーズに行われるよう手続きします。
売買仲介の営業は主に不動産仲介会社に所属します。
土地仕入営業、リフォーム・リノベーション営業
ほかにも、不動産営業には以下のような種類があります。
- 不動産会社がマンション・建売住宅などを建築するための土地を取得する「土地仕入営業」
- 風呂やキッチン、床など、古くなって不便や不具合が生じた箇所を改良するために部分的な修理を行うリフォーム、既存の中古住宅を改装し新たな価値や機能を持たせるリノベーションを提案する「リフォーム・リノベーション営業」
建設営業の種類と仕事内容
建設営業の種類は、大きく「民間工事の受注」と「公共工事の入札・受注」に分類されます。それぞれの仕事内容を解説します。
民間工事の受注
地権者(地主)に対し、マンションや商業施設などの建築を提案し、工事の受注を獲得する仕事です。商材は「自社が建てる建築物」であり、「それを建てることで地権者に利益をもたらすことができる」と説得できるかどうかが営業の肝になります。
建築の可能性がありそうな土地を所有している法人・個人のリストへのテレアポや、既存の人脈からの紹介などでアプローチします。
地権者は、自分の土地に何千万円から何十億円という高額な建物を建築することになるため、営業に対し慎重になるものです。ひとつの契約を獲得するまでには長い時間と労力が必要になります。
賃貸マンションなどの投資用物件を建設する場合は、資産運用の提案や資金計画などの戦略立案も行うため、高い営業力に加え、マーケティング力や金融の知識が必要です。
公共工事の入札・受注
公共工事の受注を目指す仕事です。公共工事の発注者は国や都道府県・市区町村といった官公庁で、原則的に入札(複数の業者の見積もりや条件をもとに発注先を選ぶこと)によって施工業者を決定します。
公共工事の建設営業は、どこでどのような入札が行われているかを常にチェックし、自社が受託できる工事か、競合他社に勝てる見込みがあるかをリサーチした上で、入札要綱に即した必要書類を作成・提出します。
民間工事の建設営業と違い、新規顧客の獲得や顧客とコミュニケーションをとるような営業活動は基本的に行いません。一方、入札に関する専門的な知識や情報収集力、素早く適切に申請書類を作成するスキルなどが求められます。
公共工事を入札・受注する営業が所属する企業は、ゼネコン、マリコンなどが挙げられます。
不動産営業/建設営業に求められる能力・素質
特に、下記の3つの能力に長けている人は不動産営業/建設営業に向いているでしょう。
行動力
不動産営業においては、新規顧客の獲得に加え長期的な顧客フォローを行うことが多く、行動量や粘り強さが必要です。建設営業においても、顧客との折衝により建設案件情報を早期に獲得することが営業の肝となるため、顧客と継続的に関係を構築し交渉を続けるタフさが求められます。その分、成果を出せばインセンティブで給与へ還元されるため、それがモチベーションになる方にはマッチしています。
調整力
不動産営業/建設営業の場合、取引金額が大きく、プロジェクトには社内・社外を含め多くの人が関与します。相手の立場や状況を理解した上で、ステークホルダーを巻き込み、協力を取りつける調整力が求められます。
信頼関係構築能力
不動産は大きな買い物であることから、顧客は信頼できる営業担当と取引したいと考えるため、顧客といかに信頼関係を構築できるかが重要です。また建設営業においても、顧客から案件の情報をいち早く聞き出すために信頼関係の構築は不可欠です。
不動産営業/建設営業のやりがい
不動産営業/建設営業に限らず、仕事を長く続けるためにはやりがいが重要です。ここでは主な3つのやりがいについて紹介します。
扱う金額が大きい
住宅販売の場合、数千万円から数億円単位の取引に関与することになります。また大規模な商業施設などの開発の場合は数十億円を超える巨額の資金が動く場合もあるため、営業としてのやりがいを感じるでしょう。
実績次第で高収入を目指せる
特に不動産業界はインセンティブ制度を採用している場合が多く、活躍が給与に反映されやすい業界です。営業個人に対しても、ほかの職種に比べてインセンティブの比率が高い傾向にあります。成果を出せば出すほど給与へ還元されるため、モチベーションにつながるでしょう。
仕事の成果が地図に残る
自分が関わったプロジェクトが、実際に住宅や商業施設として形になり地図にも残ります。携わった仕事の成果を目で見て体感でき、大きなやりがいや満足感が得られます。
不動産営業/建設営業の厳しさ
不動産営業/建設営業は、扱う金額が大きいことが多いために顧客の要求レベルが高く、時にはクレームが発生してしまうことも少なくありません。また、多くの場合で営業目標が設定されており、それを達成するために日々精神的なストレスを感じることもあるでしょう。
不動産営業/建設営業になるには?
不動産営業/建設営業は職種未経験OKの求人が数多くあります。活かせるスキルや経験の例としては、販売・接客業や、営業職経験です。相手の背景を汲んで会話する力、相手の考えを引き出すヒアリング力があれば転職に活かすことができるでしょう。
また、不動産・建設関連の資格を取得していると、勉強意欲の証として選考に有利に働く傾向があります。資格の具体例としては、宅建士、施工管理技士や建築士資格などが挙げられます。
不動産営業/建設営業のキャリアパス
不動産営業/建設営業は高い営業力が求められる業種のため、業務の中で培ったスキルを活かしてさまざまなキャリアを築くことができます。ここでは、不動産営業/建設営業のキャリアパスの事例を3つ紹介します。
社内で昇格を目指す
同じ会社で営業経験を積むことで、メンバーから営業課長、営業部長と上級管理職を目指せます。
建設領域の法人営業、メーカー商社の法人営業への転職
建築の知識がある場合は、不動産営業から建設の法人営業、建材資材などのメーカー商社の法人営業へキャリアチェンジする道もあります。
非住宅の不動産を扱う法人営業への転職
不動産の販売や仲介営業など不動産の知識がある場合は、転職して数億~数十億規模の非住宅の不動産を扱う法人営業へキャリアチェンジすることも可能です。
不動産営業/建設営業の転職に役立つ関連コンテンツ
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不動産営業/建設営業の年収
平均年収
平均年収
437.0万円
「営業」系職種の平均年収は450.7万円
「不動産営業/建設営業」の平均年収は437.0万円で、「営業」系16職種中7番目です。
年収分布
- この職種の平均
- 「営業」系職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は300万円台の33%で、次いで400万円台が26%、500万円台が14%となっています。
年間ボーナス
年間ボーナス
89.4万円
夏のボーナス…42.2万円
冬のボーナス…47.2万円
「不動産営業/建設営業」の年間ボーナスは89.4万円で、「営業」系16職種中8番目です。
不動産営業/建設営業に転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
30.5歳
「営業」系職種の平均年齢は30.0歳
- この職種の平均
- 「営業」系職種の平均
「不動産営業/建設営業」に転職した人の平均年齢は30.5歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で44%となっています。
前は何の仕事をしていた??
順位
職種
割合
-
1
33.5%
-
2
7.2%
-
3
4.9%
-
4
4.4%
-
5
4.0%
-
5
4.0%
転職前の職種も同じ「不動産営業/建設営業」が33.5%で最多ですが、職種を変えて転職したケースも少なくないようです。
何回目の転職だった?
「不動産営業/建設営業」に転職したのがはじめてだった人が51%で最多となりました。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
宅地建物取引士
12.2%
-
2
フォークリフト運転者
1.2%
-
2
日商簿記検定2級
1.2%
-
4
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
1.0%
-
4
管理業務主任者
1.0%
「不動産営業/建設営業」になった人が保有している資格を調べてみたところ、不動産の売買に欠かせない「宅地建物取引士」の保有者が多く見られました。さらに、「ファイナンシャル・プランニング技能士3級」もランクインしています。不動産営業では不動産投資に関するアドバイスや提案を行うこともあるため、ファイナンシャル・プランナーの資格が役立つ場面があると考えられます。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
629.2点
「不動産営業/建設営業」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は629.2点で、「営業」系16職種中15番目です。
不動産営業/建設営業からの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
35.1%
-
2
12.0%
-
3
8.8%
-
4
6.1%
-
5
3.7%
「不動産営業/建設営業」の次に就いた職種も同じ「不動産営業/建設営業」が35.1%で最多ですが、職種を変えて転職するケースも少なくないようです。
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販売/サービスの職種(12職種)
クリエイティブの職種(5職種)
■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人