ITコンサルタント(アプリ)とはどんな職種? 仕事内容/年収/転職事情を解説
ITコンサルタントは、企業が抱える経営課題をITによって解決する専門家です。ITコンサルタントの仕事に興味はあるものの、「具体的な仕事の内容は?」「未経験でも採用される?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。本記事では、ITコンサルタントの仕事内容、求められる能力・素質、やりがいなどについて解説していますので、ITコンサルタントへの転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
ITコンサルタント(アプリ)の仕事データ
収入
年収
625.4万円
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年収は444.5万円
年間ボーナス
136.6万円
残業・休日
月間残業時間
26.1時間
年間休日
115.6日
ITコンサルタント(アプリ)とは?
ITコンサルタントは、ITを駆使してクライアント企業の経営課題を解決する専門家。その中でもアプリケーションが主な担当領域です。課題を解決できるシステムを検討し、ソリューション(解決策)を提案、定着するまでクライアントと伴走します。
主な活躍の場は、ITに特化した中小規模のコンサルティングファームです。ほか、大手総合系コンサルティングファーム内のIT関連部門やシンクタンク、SIerなどで活躍する人もいます。ITコンサルタントは、論理的思考力やコミュニケーションスキルのほか、ITの幅広い知識や最新技術のトレンドにも精通しなければなりません。
関連する職種としては、ネットワーク(IT基盤)を専門に扱う「インフラコンサルタント」があります。詳細はこちらのページをご覧ください。
ITコンサルタント(アプリ)の働き方
ここでは主な活躍の場である、ITに特化した中小規模のコンサルティングファームでの働き方を紹介します。
コンサルティングファームの場合、一般的な企業と違い特定の部署に配属される形ではなく、「プロジェクト」と呼ばれる案件ベースで動いています。“即戦力”で活躍できるプロジェクトにアサインされる傾向はありますが、もしも希望するプロジェクト領域があるなら、その領域に活かせるスキルを身につけてアピールしていく必要があります。
通常、ITコンサルタントは複数のプロジェクトを並行して担当します。時には「担当プロジェクトが1つになって、少しゆとりができた」というタイミングが生まれることも。プロジェクトとプロジェクトの間に、リフレッシュのために長期休暇を取る人もいます。また、かつてコンサルタント業界は激務のイメージがありましたが、近年は働き方改革が進んでいるようです。例えば、時差のある海外の企業と会議を開く場合でも日本企業側の就業時間中に終わらせなければならなかったり、PCの持ち帰りを禁止していたりと、残業を減らす取り組みをしています。
ITコンサルタント(アプリ)の仕事内容と業務領域
ITコンサルタントは、企業の経営課題の解決のために次のような仕事を行っています。
- ・企業のIT戦略、DX戦略の策定
- ・ITシステム導入支援、カスタマイズ(ERP、CRMなど)
- ・AI導入
- など
プロジェクトの大まかな流れとしては、まず、クライアントの課題を解決するためのIT戦略の策定からスタート。策定に当たってはクライアントの経営陣との意見交換も欠かせません。経営計画や課題、業務範囲やフローなどを深く分析・整理し、問題解決に向けた新システムの導入や設計などの提案を行います。クライアントの業界はさまざまなので、その業界についての情報や関連法規なども把握する必要が出てくることも。戦略を組み立てたら、IT開発へと進み、開発したアプリケーションの動作テストなどの検証作業まで行ったり、現場への定着までを支援したりする場合もあります。
提案するサービスは、財務や人事などの基幹業務を一元管理するERPパッケージや、顧客との関係構築・満足度向上のためのCRMシステムなど。近年はAI活用を積極的に導入する企業が増加傾向にあるため、それに伴ってAI関連のプロジェクトも増えています。
SE、SIerとの違い
ITコンサルタントと混同しやすい職種として、「SE(エスイー:システムエンジニア)」や「SIer(エスアイアー:システムインテグレーター)」があります。ITコンサルタントとの違いは何なのでしょうか。
まずITコンサルタントは先述のように、ITを使ってクライアントの経営課題を解決するコンサルティング職です。主にコンサルティングファームに所属します。
一方、SEはシステム構築の実務を担うエンジニア職です。SEもITシステムの導入を行う点は同じですが、大きく違うのがその目的です。SEは企業の各部署など、いわゆる「現場」の課題を解決することが多く、ITコンサルタントは主に経営課題の解決が目的となります。
そして、SEの所属先として多いのがSIerです。SIerとは、クライアントの要望に応じてシステムの構築や開発、導入、運用、保守、管理までを請け負う「SI(エスアイ:システムインテグレーション)」を行う企業のこと。SIerとITコンサルタントの違いについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
ITコンサルタント(アプリ)に求められる能力・素質
ITコンサルタントとして活躍するために役立つスキルや素質は、主に次のようなものが挙げられます。
プレゼンテーション能力
クライアントへの提案に当たっては、ヒアリングや情報収集を通して複雑な課題を細かい要素に分解し、要点や実行プロセスを論理的に分かりやすく提案する能力が求められます。話すトーンや伝える情報の粒度も工夫しながらプレゼンテーションできる能力が必要です。
能動的に学び、早く吸収する力
幅広い業界から依頼されるので、クライアントの課題や事情はさまざまです。そのため、ITの最新トレンドを押さえておくのは基本として、各クライアントの業界での商慣習や法規制、その業界でポピュラーなITシステムなどの知識を、プロジェクトごとにインプットし続ける必要があります。IT技術が進化するスピードは速いので、日ごろから能動的に学び、さまざまな業界について知見を広げる習慣を身につけておくと役立つでしょう。
周囲を巻き込んで業務を進める力
ITコンサルタントは特定の部署に所属せず、プロジェクトごとに社内でチームが結成されるのは前述したとおりです。そのため、さまざまな立場の人と協力して目標達成を目指す“巻き込み力”が求められます。役職や年齢が上の人にも臆せず連携を取ったり、利害関係を把握して各所と調整したりと、周囲の信頼を得ながらプロジェクトを推し進める気概があると活躍できるでしょう。
ITコンサルタント(アプリ)のやりがい
ITコンサルタントの仕事では、次のような場面でやりがいを感じる人が多いようです。
クライアントの課題解決に貢献できたとき
事業の成長、企業の存続など、クライアントは個々の事情や課題を抱えています。それらの経営課題をITの力で解決できれば、クライアントの業績アップという形で大きなインパクトを与えられるのです。成功したあかつきには、クライアントから感謝の言葉をもらえることもあるでしょう。
成長を実感できたとき
複数のプロジェクトに携わることで、さまざまな業界の知見が広がったり、課題解決の手法を身につけられたりします。それらの経験を通して知識の点と点が線でつながるようになり、ノウハウが蓄積されます。新しいプロジェクトにアサインされた際、それらのノウハウを駆使して的確に業務を推進できたときには、自身の成長を実感できるでしょう。
社会貢献性の高い仕事に携われたとき
デジタル技術を活用して業務を変革する「DX推進」など、社会的に必要とされている課題に対応することもあります。クライアントに提供した成果が結果として社会全体へ波及することで、貢献度合いの大きさや意義を感じられ、自身のやりがいにもつながります。
ITコンサルタント(アプリ)の厳しさ
やりがいが大きい分、ITコンサルタントの仕事には難しさもあります。例えば、次のような点で厳しさを感じるかもしれません。
継続的なスキル向上が必要
クライアントの要望に応えるためには、ITの幅広い知識が必要です。IT技術の進歩するスピードはすさまじいので、「せっかく身につけたスキルも数年経つと古くなっている」ということは往々にして起こり得るでしょう。
それに加え、企業のビジネスモデルや経営戦略について深く理解する力が求められます。各プロジェクトでも、業界の市場やトレンドなどに精通していなければならないため知識は積み重なっていきますが、より積極的に学習し続ける姿勢が求められます。
業務量が多く、多忙な時期がある
昨今、コンサルティング業界でも働き方改革がなされており、かつての激務な状況は改善されてきています。とはいえ、クライアントへの提案・報告のタイミングやITシステムのリリース前後には忙しくなることは念頭に置きましょう。
ITコンサルタント(アプリ)になるには?
ITコンサルタント職に就くには、IT系コンサルティングファームか、総合系コンサルティングファームのIT関連部門に所属するのが一般的です。
IT関連の知識やプログラミングスキルがあれば、資格は問わない企業が多いようです。企業によってはIT業界未経験の人にも門戸を開いています。同時に、そうした未経験の人たちを育成できるマネジメント人材のニーズも高くなっています。
未経験からITコンサルタントを目指す場合
IT業界未経験の場合でも、特定の業界の専門経験があれば、ITコンサルタントへの転職材料としてアピールできる可能性があります。例えば、クライアントと折衝をして提案した実績や課題の改善といった上流工程の経験、プロジェクトマネジメントなどの経歴は評価されやすいようです。
SEからITコンサルタントを目指す場合
ITコンサルタントへの転職に、SE経験は活かせます。ITシステムの導入に当たっては、SEのスキルがあれば十分に対応が可能です。また、SEとしての現場経験をもとに、クライアントの課題解決に適した技術の提案ができることも強みになるはずです。その上でITコンサルタントを目指すためには、ITシステム導入の前段階にあるクライアントの課題分析や解決策の提案ができるような視点を持つことを意識するとよいでしょう。
ITコンサルタント(アプリ)のキャリアパス
ITコンサルタント職に就いた場合、その後のキャリアは次のような道筋が考えられます。
ITコンサルタントとしてキャリアアップを目指す
ITコンサルタントとして出世を目指す場合、アナリストから始めて、コンサルタント、マネジャー、パートナー、役員といった順に昇進します。
総合系から中小規模のコンサルティングファームに転職する
総合系コンサルティングファームの場合、業界ごと(金融や製造など)に部門が分かれていることが多く、所属部門の専門領域に特化する傾向があります。一方、中小・ベンチャー規模の会社は領域にかかわらず広く携わる傾向があります。仕事の領域を広げるためや、より責任のあるポジションに就くために、中小・ベンチャー規模の会社に転職する人もいます。
事業会社に転職する
ITコンサルタントの経験を活かし、事業会社のITエンジニア(SEを含む)に転職するケースも多く見られます。また、IT戦略の策定を行った経験やスキルを活かして、経営戦略やIT企画といった職種にチェンジする人もいます。
ITコンサルタント(アプリ)への転職に役立つ関連コンテンツ
ここまで、ITコンサルタントという職種の実態について解説してきました。IT分野に特化したコンサルタントの働き方や、やりがいなどを知ることで、自分がITコンサルタントとして働く姿をイメージできたのではないでしょうか。
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ITコンサルタント(アプリ)の年収
平均年収
平均年収
625.4万円
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年収は444.5万円
「ITコンサルタント(アプリ)」の平均年収は625.4万円で、「IT/通信系エンジニア」12職種中「プリセールス」に次いで2番目です。クライアントの経営課題を解決するという大きなミッションに対し、IT戦略の提案から、ときにはプロジェクト管理まで、幅広い業務内容に加えて、専門的な知識やスキルが求められることから高水準となっています。
年収分布
- この職種の平均
- 「IT/通信系エンジニア」職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は500万円台の20%で、次いで400万円台が17%、600万円台が14%となっています。1,000万円以上は11%となっていますが、10%以上になるのは職種図鑑全体でも11職種しかありません。
年間ボーナス
年間ボーナス
136.6万円
夏のボーナス…68.4万円
冬のボーナス…68.2万円
「ITコンサルタント(アプリ)」の年間ボーナスは136.6万円で、「IT/通信系エンジニア」12職種中3番目です。
ITコンサルタント(アプリ)に転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
30.6歳
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年齢は31.5歳
- この職種の平均
- 「IT/通信系エンジニア」職種の平均
「ITコンサルタント(アプリ)」に転職した人の平均年齢は30.6歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で49%となっています。
前は何の仕事をしていた?
順位
職種
割合
-
1
33.5%
-
2
11.7%
-
3
9.7%
-
4
7.8%
-
5
5.8%
転職前の職種は「アプリケーションエンジニア」が33.5%で最多となっていますが、「IT/通信系エンジニア」職種以外に転職したケースも見られます。
何回目の転職だった?
「ITコンサルタント(アプリ)」に転職したのがはじめてだった人が67%で最多となりました。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
基本情報技術者試験
3.6%
-
2
日商簿記検定2級
2.7%
-
3
ITパスポート
1.9%
-
4
応用情報技術者
1.7%
-
5
情報処理技術者試験第二種
1.2%
「ITコンサルタント(アプリ)」になるために必須の資格はありませんが、ITコンサルタント(アプリ)のうち最も多くの人が保有している資格は「基本情報技術者試験」、2番目が「日商簿記検定2級」でした。経営課題の解決に向けたIT戦略を立案するためには、財務情報に関する知識が必要になることも一因として考えられます。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
757.0点
「ITコンサルタント(アプリ)」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は757.0点で、「IT/通信系エンジニア」12職種中トップです。
ITコンサルタント(アプリ)からの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
34.8%
-
2
24.7%
-
3
11.2%
-
4
6.7%
-
5
4.5%
「ITコンサルタント(アプリ)」の次に就いた職種は「アプリケーションエンジニア」が34.8%で最多です。2位以下も同じ「IT/通信系エンジニア」職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をする人が多いことが分かります。
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■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人