総務とはどんな職種? 仕事内容/年収/転職事情を解説
総務は「会社の環境整備や事務作業を行う部署」という漠然としたイメージはあっても、具体的な業務内容まで把握している方は少ないかもしれません。
この記事では、総務の概要から、仕事内容やキャリアパス、年収まで幅広く解説します。総務への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
総務の仕事データ
収入
年収
482.0万円
「企画/管理」系職種の平均年収は517.6万円
年間ボーナス
98.8万円
残業・休日
月間残業時間
16.8時間
年間休日
125.5日
総務とは?
総務とは、職場環境を整え、組織全体がスムーズに運営できるようにサポートする職種のことです。総務の業務の大半は会社の後方支援であるため、縁の下の力持ちのような存在ともいえるでしょう。
総務が担当する仕事は、社内の備品管理から、株主総会・取締役会の運営など多岐にわたります。近年は、法令を遵守するためのコンプライアンス体制の構築を目的としたマニュアルの整備や、社員のマイナンバー管理なども企業運営に欠かせない重要な業務として挙げられます。
また、定期健康診断やストレスチェックの実施など、社員の心身の健康管理も総務が担当する業務の一つです。このような業務を担う人がいなければ円滑な企業運営が困難になるため、総務は「会社を支えている」という実感を得られる仕事です。
総務の仕事内容
総務の代表的な業務としては「社内の備品管理」「社内の施設管理」「福利厚生に関する各種業務」「株主総会や取締役会の企画・運営」「文書管理」の5つが挙げられます。ここではそれぞれの業務について詳しく解説します。
社内の備品管理
封筒やコピー用紙といった事務用品、トイレットペーパーやゴミ袋といった日用品、デスクや椅子など、社内で使用する備品を管理する業務です。備品名や数、保管場所などを記録し、不足している場合や古くなった場合などに発注を行います。
パソコンやコピー機といった電子機器は、定期的なメンテナンスに加え、故障時の修理も総務が手配することが一般的です。
社内の施設管理
施設管理は、社内にあるエアコンや照明の調整、防災管理、清掃業者の手配などの業務を行います。オフィスのレイアウト変更や移転の際にも総務が取りまとめます。駐車場やオフィスを借りている企業では、賃貸契約の手続き・管理も行います。
福利厚生に関する各種業務
育休や有給、介護休暇、扶養手当など、社員から福利厚生に関する申請があった場合は、総務が対応します。
社宅の管理や健康診断の手配といったことも福利厚生関連の業務として総務が担当します。また、場合によっては新たな福利厚生制度の企画や導入の検討を行うこともあります。
株主総会や取締役会の企画・運営
株主総会や取締役会を行う場合、総務が企画・運営の仕事を任されます。例えば、会場の手配、必要資料の準備、質疑応答や当日のシナリオ作成などが代表的な業務内容です。
事前準備はもちろんのこと、当日の運営も担当するため、株主への案内・誘導などのほかに、予期せぬトラブルが起きたりした際には臨機応変な対応が求められます。また、株主用のお土産を手配するなど、社内だけでなく株主に向けた細かな配慮も欠かせません。
文書管理
文書管理とは、取引先と交わした契約書、固定資産やリース物件の管理台帳、社員の個人情報などを適切に管理する業務です。
書類の保管のほかに、保管期間を終えた書類の破棄も行います。書類の中には、法律で保管期間が定められている場合もあるため、適切な知識を備えた上で対処することが重要です。
総務と人事の違い
総務と混同されやすい職種として、人事が挙げられます。どちらもバックオフィス業務に携わりますが、業務の対象が異なります。ここでは、人事との違いについて具体的に紹介します。
総務は「モノ」、人事は「人」を対象にする
大まかに説明すると、総務は、備品管理や施設管理といった「モノ」を対象とした仕事を任されます。
一方で、人事は主に「人」に焦点を当て、組織運営に必要な人材の確保と適材適所の配置を行うことが主な仕事内容とされています。具体的には、新卒・中途採用活動、セミナーや研修といった学びの場の提供、社員のモチベーションを維持するための評価体制の構築、給与計算などを担うのが一般的です。
会社によっては兼務することもある
会社によっては、人事と総務の業務を統合した「人事総務部」が設置されることがあります。人事は常に同じ量の仕事を担当しているわけではなく、年末調整や給与計算など特定の時期に仕事が集中しやすいのが特徴です。兼任して人事の仕事が少ない時期に総務の仕事を行うことで、限られたリソースを有効に活用できます。
総務に求められる能力・素質
多種多様な業務を任される総務には、「調整力」「計画力」「正確性」の3つの能力・素質が求められます。ここでは、それぞれについて解説します。
調整力
社内のすべての部署、経営陣、社外の取引先と連携しながら業務を行うことが多い総務は、関係各所との調整を経て物事を進めていく必要があります。具体的には、社内外のスケジュールや外部業者との価格調整、部署間で連携するための調整といった業務が挙げられます。相手の話を聞き、必要なものが何であるか汲み取った上で、バランスを取りながら各関係者が納得する方法を調整することが大切です。
他部署との調整を行う際は、相手にとっては好ましくない内容を提案する場面もあるでしょう。このような場合でもしっかりと自分の考えを伝え、納得してもらえるように話す内容や資料などの内容を調整していく力が総務には必要不可欠です。常日ごろから他部署とコミュニケーションを取り、部署ごとの仕事内容や目標を把握しながら信頼関係を築くと、難しい調整も乗り越えやすくなります。
計画力(段取り力)
総務は株主総会・取締役会などの運営業務やオフィスレイアウト業務も担当します。このような業務では、計画の作成・確認だけでなく、進捗状況をチェックしながら滞りなく進行しているか管理するための段取り力も必要です。社内外への連絡やスケジュール管理を行う際は、全体を俯瞰しながら、抜け漏れがないか細かくチェックするスキルも求められます。
正確性
総務が担当する業務は他職種と比べても多岐にわたります。各業務の特性がまったく異なっていたとしても、一つひとつの業務内容を理解しながら正確に行うことが大切です。例えば、前述した文書管理業務を担当した場合、紛失や漏洩があると大きな問題に発展するリスクがあります。
設備の不具合や社員の冠婚葬祭に関する休暇や手当の対応など、イレギュラーな業務が突然舞い込むこともあるでしょう。急な業務でもミスなく正確に対応しなければ、円滑な企業運営の妨げになったり、社員の不満につながったりする可能性があります。
また、複数業務を並行して行うこともあるため、各業務の優先順位を決めて正確に処理することが求められます。
総務のやりがい
総務に限らず、仕事をする上でのやりがいは重要です。ここでは、総務の主なやりがいについて紹介します。
会社を支えているという実感
会社に関わるさまざまな仕事を担当する総務は、企業運営に欠かせない部署の一つです。社員が気持ちよく働ける健全な企業体制を構築するために業務改善を行い、会社を支える立場のため、「自分は会社を支えている」という使命感を持って仕事に邁進できます。
また、備品の補充や福利厚生の対応などで各部署とコミュニケーションを取ることが多い総務は、社員から感謝の言葉を直接伝えられることもあるでしょう。たとえ目立たない業務だとしても、身近に感謝してくれる人がいることでやりがいを感じられます。
さまざまな人と関わりを持って連携できる
社内のイベントや会議などの運営を担当する総務は、会社のすべての部署と関わるからこそ、多くの人と関わり、連携できることも魅力です。
経営陣に近い
総務は、社員の労務環境やオフィス移転など企業の根幹に関わる部署であるため、役員や経営者と関わる場面が多くあります。
経営と近い距離にある部署で働けば、経営的な視点やトップの考え方を間近で見聞きできます。経営者ならではの考え方を学ぶことは、今後のスキルアップにつなげられます。
総務の厳しさ
総務には、やりがいがある一方で厳しさもあります。どのような点で厳しさを感じるのか把握し、乗り越えていくための準備をすることが大切です。ここでは、総務の仕事における厳しさについて紹介します。
幅広い業務の対応を求められる
総務は「困ったことや、分からないことがあれば総務へ聞けばよい」という認識を持たれやすく、「何でも屋」と捉えられる場合もあるでしょう。さまざまな業務を担う部署であるため、仕事量が多くなりやすいです。
通常の業務に加え、イレギュラーな相談や依頼が舞い込んでくるケースも多く、「すべてに対応するのが大変」と感じる人もいます。また、業務が幅広いため一つの業務にじっくりと集中して取り組むのが難しいといった悩みを持つこともあるでしょう。
学ぶことが多い
総務は、備品や設備の管理、株主総会・取締役会の運営、書類管理などのほかに、企業によっては人事や労務、法務を兼ねることがあります。このようなバックオフィス業務に適切に対応するには、最新の法令を把握しておく必要があります。
新しいことを学ぶのが好きな人でなければ、学ぶことの多い総務の仕事に対して厳しさを感じる可能性があります。
総務になるには?
総務に転職する上で押さえておきたいポイントを解説します。
総務の求人は実務経験を求められることが多い
中途採用における総務の求人は、実務経験を必須条件にするケースが多いです。総務経験がない場合は、代わりに人事、労務、経理などの経験が求められることがあります。特に、株主総会やファシリティ関係、安全衛生系は経験や知識が問われるため、未経験では転職が厳しい場合があります。
総務アシスタントであれば未経験OKの場合も多い
未経験から総務を目指す場合は、未経験OKの求人が比較的多い「総務アシスタント」から始めるのがおすすめです。実務経験がなかったとしても、資料作成・備品管理などの事務処理能力、業務改善や課題解決力、Excelを中心としたPCスキルを備えた人は、転職活動で有利になるでしょう。
採用の場面で資格の有無が問われることは少ないですが、MOS(Microsoft Office Specialist:モス)を保有していると役立つこともあります。MOSとは、ExcelやWord、PowerPointなどMicrosoft製品の使用スキルを証明する資格です。総務ではパソコンを使った事務作業も多いため、積極的にアピールするとよいでしょう。
総務のキャリアパス
総務で働く人は、基本的に同じ部署内でキャリアアップをしていくパターンが多いです。例えば、中途採用で総務アシスタントから入った場合、安全衛生の管理、BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)の作成、ファシリティの管理など、総務部門で担当できる仕事の幅を徐々に広げていき、リーダーやマネジャーへとステップアップします。
また、総務である程度の経験を積んでから、人事や経理にキャリアチェンジすることも少なくありません。
総務への転職に役立つ関連コンテンツ
ここまで総務という職種について解説してきました。自分が総務として働く姿をより具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。dodaでは、総務の転職にチャレンジしたい方向けに、応募書類の作成や自己PRにきっと役立つコンテンツを用意して転職をサポートしています。ぜひ活用してください。
総務の年収
平均年収
平均年収
482.0万円
「企画/管理」系職種の平均年収は517.6万円
「総務」の平均年収は482.0万円で、「企画/管理」系14職種中11番目です。
年収分布
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は、300万円台と400万円台が同じ27%で、次いで500万円台が15%となっています。
年間ボーナス
年間ボーナス
98.8万円
夏のボーナス…50.2万円
冬のボーナス…48.6万円
「総務」の年間ボーナスは98.8万円で、「企画/管理」系14職種中12番目です。
総務に転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
34.3歳
「企画/管理」系職種の平均年齢は33.5歳
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
「総務」に転職した人の平均年齢は34.3歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で31%となっています。
前は何の仕事をしていた?
順位
職種
割合
-
1
17.6%
-
2
14.2%
-
3
8.1%
-
4
6.1%
-
5
5.8%
転職前の職種も同じ「総務」が17.6%で最多ですが、職種を変えて転職したケースも少なくないようです。
何回目の転職だった?
「総務」に転職したのがはじめてだった人が38%で最多となりましたが、ほかの「企画/管理」系職種と比べるとはじめての転職の割合はやや少なめです。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
日商簿記検定3級
6.7%
-
2
衛生管理者1種
6.5%
-
3
日商簿記検定2級
5.5%
-
4
宅地建物取引士
2.8%
-
5
防火管理者甲種
2.5%
「総務」になるために必須の資格はありませんが、仕事に直接役立つと考えられる「日商簿記検定3級」や、自身のキャリアの可能性を広げるためのさまざまな資格を取得している傾向が見られました。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
691.9点
「総務」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は691.9点で、「企画/管理」系14職種中14番目です。
総務からの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
28.7%
-
2
24.3%
-
3
11.6%
-
4
6.1%
-
5
2.8%
-
5
2.8%
「総務」の次に就いた職種も同じ「総務」が28.7%で最多です。2位以下も同じ「企画/管理」系職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をする人が多いことが分かります。
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■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人