コンサルタントとはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説
コンサルタントはクライアントの相談に乗って課題を解決する専門家です。コンサルタントの仕事に興味はあるものの、「具体的な仕事内容は?」「未経験でも採用される?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、コンサルタントの種類や仕事内容、求められる能力やなり方について解説していますので、コンサルタントへの転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
コンサルタントの仕事データ
収入
年収
625.8万円
「コンサルタント/不動産専門職」の平均年収は537.2万円
年間ボーナス
97.7万円
残業・休日
月間残業時間
27.0時間
年間休日
105.5日
コンサルタントとは?
コンサルタントとは、クライアントの相談に乗って課題を分析・特定し、解決まで導く専門家です。コンサルタントは「相談する」を意味する英語「consult」に由来しており、何かの商品を売るのではなく、コンサルティングそのもので対価を得ます。近年では提案だけにとどまらず、実行支援まで行うのが一般的です。
クライアントが外部にコンサルティングを依頼する理由は、対応しきれない専門知識のある人材が必要になったり、客観的な意見を求めたりするためです。それだけにクライアントの期待値は高いので、コンサルタントはコストに見合うだけの結果が求められる難易度の高い職種といえるでしょう。
また、コンサルティングファームという企業に所属し、「経営戦略」「IT」など専門領域やテーマを持ってコンサルティングを提供するのが主流です。高い専門性と深い知識が求められるため、その分成果が年収に反映されやすく、やりがいや達成感の大きさから人気のある職種です。
コンサルタントの働き方
多くのコンサルタントはコンサルティングファームに所属していますが、一般的な企業と違い決まった部署に配属されるという形態ではなく、「プロジェクト」と呼ばれる案件ベースで動いています。プロジェクトごとにチームが組まれ、完遂するまでの期間中はそのチームで一体となって働くことになります。その都度、上司や同僚、部下が変わっていくのが特徴的です。
経験を積むうちに、複数のプロジェクトを並行して担うようになります。多忙な時期もありますが、次のプロジェクトがスタートするまでのインターバル期間に長期休暇を取る人もいるようです。かつては「コンサルタントは激務」ともいわれましたが、コロナ禍以前からコンサルティング業界全体で働き方改革が本格化しています。残業時間の厳格管理、夜間のミーティング禁止、休日の業務連絡禁止、一人当たりの残業時間を減らすための採用強化といったように、ワーク・ライフ・バランス改善のための取り組みが各社で行われています。
コンサルティングファームの種類
コンサルティングファームとは、コンサルティングを提供する会社のこと。コンサルタントの多くはここに所属しています。幅広い領域をカバーしている「総合系コンサルティングファーム」のほか、下記のような専門領域ごとに種類が分かれています。
- ・戦略系(経営、企業再生、M&A)コンサルティングファーム
- ・IT系コンサルティングファーム
- ・組織人事系コンサルティングファーム
- ・財務アドバイザリー系コンサルティングファーム
- ・監査法人系コンサルティングファーム
ほか、業界特化型(医療、金融など)のコンサルティングファームなど
コンサルタントの種類と仕事内容
コンサルティングファームに所属するコンサルタントたちは、それぞれの専門領域に強みを持っています。例えば、M&A(企業の合併・買収)の経験が豊富な戦略コンサルタントや、ERP(基幹系情報システム)に詳しいITコンサルタントなどです。ここでは、主なコンサルタントの種類と仕事内容を見ていきましょう。
戦略コンサルタント
主に企業の経営層を相手に、経営上の課題解決をサポートします。具体的な仕事内容は、中長期の戦略をはじめ、M&A戦略やグローバル戦略、新規事業参入やマーケティング戦略の見直しなど。戦略を立てるために、ステークホルダーや専門家からの情報収集、原因分析なども行います。近年では、提案した戦略が机上の空論で終わらないよう、実行まで入り込んだコンサルティングを提供することも増えています。
経営コンサルタント
経営についての課題解決がテーマです。戦略コンサルティングと混同しそうですが、扱う課題に違いがあります。戦略コンサルティングは、会社全体の戦略を立案するなど、いわゆる「上流」の意思決定を支援するもの。それに対して、経営コンサルティングは企業の意思決定に基づき、「どうすればベストな方法で進められるか」が課題となるのです。
具体的には、事業計画や財務、人事、業務、IT戦略などに携わります。長期ではなく短中期で成果を出すようなプロジェクトをイメージするとよいでしょう。
ITコンサルタント
ITを活用してクライアントの課題を解決に導きます。具体的には、IT戦略立案からシステムの選定・導入支援、導入後の効果分析、システムのカスタマイズなど。実務内容だけを見るとSEと似ていますが、SEがクライアントの要望をもとにシステムの設計・開発を行うなど技術に特化しているのに対し、ITコンサルタントは経営的な視点で課題を解決することに特化しているという違いがあります。システムの知識や経験はもちろん、ITに関する法律やニュース、クライアントの業界動向なども、ITコンサルタントなら把握していることでしょう。基幹系情報システム「ERP」や顧客管理システム「CRM」など、市販されているパッケージ導入に特化したITコンサルタントも存在しています。
業務コンサルタント
クライアント企業の業務プロセスを分析し、あるべき業務体制へ導くのが業務コンサルタントの仕事です。クライアントの業種はメーカーや飲食店など多岐にわたり、企業の課題は「業務を効率化したい」「コストを削減したい」などさまざま。そのため、どんな課題にも対応できるよう、業務フローの改善、システムの導入支援、人材開発、財務管理などの業務改善に挑むことになります。
再生コンサルタント
継続が困難になっている事業や企業を健全な経営状態に立て直し、自立まで導きます。クライアントの現状を多角的に分析し、再生計画を立案。場合によってはクライアント企業の一員となって、資金マネジメント、不採算事業の整理、M&A、カーブアウト(会社分割)、リストラの検討などの提言、支援を行っていきます。
人事コンサルタント
人事コンサルタントは、組織づくりの根幹に関わる人事の課題解決をする仕事です。扱う領域は主に「人事組織」「採用活動」「人材育成」の3つに分類できます。具体的な仕事内容は、人事組織領域なら評価基準の見直し、組織の意識改革のアドバイスなど。採用活動領域では、採用ターゲットの設定から内定者フォローまで、一連の採用活動に対してアドバイスします。人材育成領域では業務に必要なスキルを明確にし、入社者や既存社員への研修プログラムの立案や実施をサポートします。
医療コンサルタント
医療領域に特化してコンサルティングを行うのが仕事です。クライアントは大学病院やクリニックといった医療機関のみならず、医薬品メーカーや医療機器メーカーなども含まれます。例えばクライアントが病院の場合は、資金調達や医療機器の購入などをサポートする「開業支援」や、受付・予約の自動化をはじめとするスマートホスピタル化に向けた「IT導入支援」などを行います。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは土木や建築の専門知識を持ち、主に「公共事業」の工事発注者にアドバイスをする仕事です。公共事業とは、ダムや道路など国が設立して整備・維持する施設や環境などの工事のこと。その際に、事前調査、工事の企画・設計などを行います。従って、建設コンサルタントのクライアントは公共機関がほとんどです。
例えば、行政の担当者が「道路を造ろう」と計画しても、ゼネコンに工事を発注するための事業計画を自分で作るのは難しいかもしれません。そこで、建設コンサルタントが事業計画の作成やアドバイスを行います。事業計画を作成するには、予算や工期の割り出し、周辺環境への影響といった事前調査などを担うスキルが求められます。
コンサルタントの役職・職位
コンサルタントにはいくつかの役職があります。キャリアアップを実感する目安となることでしょう。ファームによって名称は異なりますが、一般的に次の4種類に分かれています。
アナリスト(アソシエイト、ジュニアコンサルタント)
コンサルタントの出発点に当たる職位です。新卒や第二新卒で入社した場合などはここから始まります。プロジェクトではチームの一メンバーとして、マネジャーやシニアアソシエイトの指導の下でリサーチや分析、議事録作成など幅広い業務に携わります。地道な作業がほとんどですが、任された仕事を日々やり遂げることにより、次第にコンサルタントのスキルが身についていきます。
コンサルタント(シニアアナリスト、シニアアソシエイト)
アナリストを3〜5年ほど経験して実力があると評価されたら、2つ目の職位である「コンサルタント」に昇格します。中途採用の場合はコンサルタントから始まることも多く見られます。基本的にはマネジャーの指揮下で動きますが、プロジェクトの一定範囲で責任者となります。自身の判断で課題を解決するための仮説立案や、部下のアナリストに指示し必要なデータを集めてプロジェクトを推進していきます。クライアントの中堅メンバーと直接コミュニケーションを取る機会も増えます。
マネジャー(シニアコンサルタント、シニアマネジャー)
マネジャーは、プロジェクトを監督し責任を持つ立場の職位です。コンサルタントからキャリアアップすると、この職位に就きます。プロジェクトの予算管理から進捗管理、品質管理まですべてに目を配ります。さらに、進行中の担当案件を動かすだけでなく、新規案件獲得にも大きく関わります。また、部下のマネジメントや育成も担う重要なポジションです。このように、アナリストやコンサルタント時代の経験を活かした総合力が求められます。
パートナー(プリンシパル、バイスプレジデント、ディレクター)
コンサルタントでは最上位の役職で、コンサルティングファームの役員に相当します。任務は多岐にわたり、共同経営者としてファームの経営に関与したり、新規案件を獲得するための営業活動を行ったりします。プロジェクトでは複数案件の最終責任者となり、チームマネジメントや教育・評価といった面でもリーダーシップを発揮する存在です。
コンサルタントに求められる能力・素質
クライアントの課題を解決するために、コンサルタントは特に次のような力が求められます。
知的好奇心、成長意欲
コンサルタントの領域は幅広いものです。自分の専門外である領域のプロジェクトを担当する場合、短期間で情報・知識を吸収し準備をするためにも知的好奇心は欠かせないでしょう。現状に満足することなく成長し続ける姿勢も重視されます。
論理的思考力(ロジカルシンキング)
コンサルティングには重要なスキルですが、入社時は十分に備わっていなくても磨いていくことができます。そのため、論理的思考力は入社後の育成でカバーするとして、意欲とマインドを採用で最も重視するファームもあります。
本質的なコミュニケーション力
本質的なコミュニケーション力とは、意図を理解して言語化する力です。コンサルタントとして社内外で必要な素養といえるでしょう。
コンサルタントのやりがい
コンサルタントは責任が求められる分、やりがいも大きい仕事です。次のようなやりがいを感じることが多いようです。
難しい課題を解決できる
依頼される仕事は、その業界に精通しているクライアントでさえ悩むほど難易度の高い課題の解決がほとんど。与えられたことを作業としてこなすのではなく、挑戦する気持ちでプロジェクトに臨むことも多いでしょう。そのため、解決できた際の達成感はひとしおです。
クライアントのためになれる
コンサルタントはさまざまなメリットをクライアントにもたらすことができる仕事です。例えば、クライアント企業の無駄な出費を削減したり、より効率的な業務フローを提案したり、社員の働く意欲を高めることもあるでしょう。こうした提案・支援でクライアントのために力を尽くせることは、大きなやりがいになるはずです。
社会貢献性
昨今では例えば、デジタル技術を活用して業務を変革する「DX推進」など、特に社会で必要とされている課題も担う立場だからこそ、自らの取り組みが社会に貢献しているという感覚を持つことができます。
コンサルタントの厳しさ
コンサルタントという職種は魅力がある一方で、厳しい面もあります。例えば、次のような場面で厳しさを感じやすいようです。
課題の難易度の高さ、要求レベルの高さ
プロジェクトごとに新しい課題に直面する仕事です。「既にあるもの」をパッケージとして使うのではなく、課題ごとにベストな解決策を提示することになります。社内やクライアントから要求されるレベルの高さに難しさを感じることは多いようです。
スピード感
コンサルタントとほかの職種の大きな違いとして、要求される仕事のスピード感が挙げられます。ヒアリングをもとに課題を分析して解決策を立て、分かりやすく提示するまでの一連の流れをスピーディーに実行することが求められます。特に、未経験でコンサルタントになった人は「求められるスピード感に応えられない」と歯がゆい思いをする瞬間もあるかもしれません。
業務量が多く、多忙な時期がある
「コンサルタントは激務」といわれたかつての状況は改善されてきています。とはいえ、プロジェクトの開始時やクライアントへの報告のタイミングでは、情報をインプットしたり、資料を作成したりといった業務が集中します。多忙になる時期があることは念頭に置いておきましょう。
コンサルタントになるには?
コンサルタントになるには、企業に所属する方法とフリーランスで働く方法があります。コンサルタント未経験の場合は企業、すなわち「コンサルティングファーム」への入社を目標にするとよいでしょう。
もし、未経験でコンサルタントに転職したい場合、次のような経験があると活かしやすいでしょう。
営業職
コンサルタントもクライアントに提案・提言をする仕事なので、顧客折衝力が求められます。営業で実績のある人は、コンサルタント未経験でも採用されやすくなっています。
企画職
企画職も何らかの課題を解決する職種であるため、物事の捉え方や考え方のコツを応用したり、企画職としての経験を活かしやすかったりと、コンサルタント職との親和性が高いといえるでしょう。
コンサルタントのキャリアパス
コンサルタント職に就いた場合、その後のキャリアは次のような道筋が考えられます。
そのままコンサルタントを続ける
先に紹介した4つの「コンサルタントの役職・職位」のように、昇進の道筋が明確です。まずはアナリスト、コンサルタント、マネジャー、パートナーへとステップアップし、さらに役員になる人もいます。社外取締役として他企業に携わる人も少なくないようです。
事業会社に転職する
コンサルタントを続けていくうちに、自身が主体となって戦略を実行し、中長期的に自社の成長に関わりたいと考えて事業会社へ移るケースがあります。この場合、企画職、マーケティング職、CEO、CFOなどとして活躍します。
コンサルタントへの転職に役立つ関連コンテンツ
ここまでコンサルタントという職種の実態について解説してきました。自分がコンサルタントとして働く姿をより具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。
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コンサルタントの年収
平均年収
平均年収
625.8万円
「コンサルタント/不動産専門職」の平均年収は537.2万円
「コンサルタント」の平均年収は625.8万円です。
年収分布
- この職種の平均
- 「コンサルタント/不動産専門職」の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は400万円台の18%で、次いで500万円台が17%、300万円台が15%となっています。1,000万円以上は12%となっていますが、10%以上になるのは職種図鑑全体でも11職種しかありません。
年間ボーナス
年間ボーナス
97.7万円
夏のボーナス…46.4万円
冬のボーナス…51.3万円
「コンサルタント」の年間ボーナスは97.7万円です。
コンサルタントに転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
31.5歳
「コンサルタント/不動産専門職」の平均年齢は33.7歳
- この職種の平均
- 「コンサルタント/不動産専門職」の平均
「コンサルタント」に転職した人の平均年齢は31.5歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で47%となっています。
前は何の仕事をしていた?
何回目の転職だった?
「コンサルタント」に転職したのがはじめてだった人が59%で最多となりました。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
日商簿記検定2級
3.4%
-
2
日商簿記検定3級
2.2%
-
3
基本情報技術者試験
1.4%
-
4
ITパスポート
1.2%
-
5
宅地建物取引士
1.1%
「コンサルタント」になるために必須の資格はありませんが、専門分野に関する実績や経験が重視されるケースが多く、財務・経営などのサポートに関わるための最低限の下地として「日商簿記検定」の資格を保有している人が一定数いることが分かりました。そのほか、建設分野であれば「宅地建物取引士」、ITコンサルタントの場合は「ITパスポート」など、各専門分野における一定の知識の証明として資格を持っている人がいるようです。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
782.6点
「コンサルタント」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は782.6点です。
コンサルタントからの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
17.4%
-
2
12.3%
-
3
8.7%
-
4
8.2%
-
5
5.9%
「コンサルタント」の次に就いた職種は「経営企画/事業企画」が17.4%で最多で、「コンサルタント/不動産専門職」以外に転職するケースも見られます。企業の戦略を担う「経営企画/事業企画」の仕事はコンサルタントの経験が十分に発揮できるものと考えられます。
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職種一覧
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建築/土木系エンジニア6職種のデータです
素材/化学/食品系エンジニアの職種(4職種)
素材/化学/食品系エンジニア4職種のデータです
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コンサルタント/不動産専門職(2職種)
販売/サービスの職種(11職種)
クリエイティブの職種(5職種)
■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人