経理/財務/税務/会計とはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説
会社の経営にとって欠かせない「経理/財務/税務/会計」の仕事。よく耳にする職種で、いずれも「お金を扱う仕事」という漠然としたイメージはあるものの、それぞれが具体的にどのような仕事か把握している人は少ないかもしれません。
この記事では経理/財務/税務/会計の特徴、仕事内容や年収、転職事情について解説しています。転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
経理/財務/税務/会計の仕事データ
収入
年収
533.6万円
「企画/管理」系職種の平均年収は517.6万円
年間ボーナス
120.4万円
残業・休日
月間残業時間
23.8時間
年間休日
120.7日
経理/財務/税務/会計とは?
経理/財務/税務/会計は、いずれも会社のお金を管理する仕事ですが、業務内容と果たす役割にはそれぞれ違いがあります。
経理の仕事は、日々のお金の管理・記録を行うことです。毎日の取引の記録から毎月の給与支払い、年に一度の決算まで、さまざまな業務を幅広く担当します。
会計は、経理が処理した日々のお金の出入り、出納記録に基づき、決算書作成(財務会計)と自社の経営成績の管理(管理会計)を行い、ステークホルダーに財政状況を報告することが仕事です。
税務は企業が納めるべき税金の算出・申告や納税など、税に関する業務を担っています。
財務は、会社が事業を行うために必要な資金を調達し、資産運用を行います。
企業の規模によっては、会計・経理・財務などをすべてひとりの担当者が行うこともあります。
以下では、それぞれの仕事内容について解説します。
経理とは?仕事内容は?
「経理」とは、「経営管理」の略称で、会社の日々のお金の流れや取引を記録し、管理する仕事です。
経理の仕事は大きく分けて、日次業務・月次業務・年次業務の3つがあります。
日次業務では、売り上げの集計や入金管理、経費処理、領収書・納品書の整理などを行います。日々の取引で発生した入金や出金を簿記のルールに則って正確に帳簿に記録します。
月次業務では、帳簿を月末に締め、収入や支出をまとめます。請求書の発行や給与、社会保険料、経費の支払いも行います。
年次業務では、1年間の会社の業績や財産の状況を集計し、決算書を作成します。株主総会の開催や税務署の監査にも対応します。
経理の仕事は、コツコツと地道な作業を積み重ねていく業務が多いといえます。しかし、経理が提出する資料は、経営陣が日々の売り上げや会社の資産状況を把握し、今後の経営を健全に行うための判断材料となる重要なものです。会社のお金が滞りなく正常に流れることで業務が円滑に回るため、経理はまさに会社の支柱であるといえるでしょう。
会計とは?仕事内容は?
「会計」は、日々のお金の流れを把握する「経理」の仕事を含む、お金の管理全般を指します。会計・経理は業務内容が近いため、厳密に両者を区分していない企業もあります。
会計の仕事は大きく分けて、義務として行う「財務会計」と任意で行う「管理会計」の2種類があります。
財務会計
企業活動の結果をまとめ、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の財務諸表を作成し、ステークホルダーに企業の経営状況を開示します。
ステークホルダーとは、企業の活動により影響を与える利害関係者のことで、具体的には、株主や経営者、従業員、顧客、取引先などが該当します。
管理会計
損益計算書や貸借対照表の作成などを行います。これをもとに、経営者が会社の経営状況を把握したり、管理会計の担当者が事業部門と一緒に具体案を検討したりします。
税務とは?仕事内容は?
「税務」とは、企業が納めるべき消費税や法人税などの税金の額を算出し、申告や納税を行う仕事です。
税金には所得税や法人税などがありますが、税務は主に、法人税に関わる申告書の作成に必要な「税務会計」や、事業年度ごとの申告書の提出などを担当します。
税務には、税に関する専門的な知識と、それをもとに書類を正確に作成するスキルが求められます。また、業務内容から忙しい時期が決算期などに集中しやすいのが特徴です。そのため普段は経理や管理会計などほかの業務を兼任していることが多く、幅広い作業に対応できる柔軟さが求められやすいといえます。
財務とは?仕事内容は?
「財務」は、企業の資金や予算などを管理する仕事です。「経理」が過去に使ったお金を管理するのに対し、「財務」は会社がこれから使う未来のお金を管理するという点が異なります。
財務は会社の財務戦略の立案から資金調達・予算管理・資産運用まで携わり、会社の事業展開を資金面から支えます。
例えば新規事業を開始する場合、まず財務が必要となる資金を計算します。次に、資金調達の方法として、「銀行から借りる」「投資家に出資してもらう」「自己資金で対応する」などの選択肢から最も効率的で実現可能な方法を検討します。
融資を受けるために銀行と折衝したり、株式や社債を発行したりして資金を調達するのが財務の重要な仕事のひとつです。また事業の開始後も、運用・継続するためにかかるお金を計算し、資金繰りを管理します。
財務は企業が安定して成長していくために欠かせない仕事といえますが、規模が小さい企業では、経営者が自ら財務の役割を果たしているケースも少なくありません。
経理/財務/税務/会計に求められる能力・素質
経理/財務/税務/会計の仕事は、お金や経営に関する幅広い知識に加え、さまざまな能力が求められます。とくに、下記の3つの能力に長けている人は経理/財務/税務/会計に向いているでしょう。
改善力
日々の業務に効率を求め改善していくために、自ら思考する力が必要です。
法制度の変更や新たなシステムが生み出される中で、「どのような業務フロー・改善を行えば自身の業務がよりスリム化するか、正確性を保てるか」を考え、工夫することが求められます。
また、決算のとりまとめがミッションとなった際には、チーム全体の効率を上げ、決算の早期化につなげるための視点を持つことも重要です。
コミュニケーション力
経理/財務/税務/会計の仕事に従事していると、他部門との連携が必要な場面が多々あります。
各事業部から収集したデータをもとに経営資料を作成することはもちろん、時には新規事業などの立案に伴って経理フローの構築を行うこともあるでしょう。決められたルールに基づいた対応だけでなく、現場のニーズを汲み取った柔軟な対応したり、他部門とやり取りしたりしながら意思決定していく場面も多いといえます。
PCスキル、ITリテラシー
業務では各種会計ソフトやExcel関数など、比較的高度なPCスキルが求められます。とくに近年は経理/財務/税務/会計の業務においてもDXの取組みが進んでいるため、システム活用への理解力が必要です。
経理/財務/税務/会計のやりがい
職種を問わず、仕事を長く続けるためにはやりがいが重要です。ここでは経理/財務/税務/会計のやりがいを3つ紹介します。
会社の経営に貢献できる
会社の資金管理を通じて、経営者の経営判断・意思決定に貢献できるのが魅力です。経営の面から会社を動かし、将来を担う判断に関与できるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
決算で達成感を味わえる
月末月初は業務量が多くスケジュールに追われる半面、月次決算を締めるたびに達成感を味わえます。また、年次決算に向けた業務を通じて学びを得られることも魅力です。
さまざまな知識を取得できる
経理/財務/税務/会計に求められる知識やスキルは、会社規模や業種に関係なく必要とされます。スキルアップしていくことで、多くの企業から求められる汎用性が高い人材へと成長できるでしょう。
経理/財務/税務/会計の厳しさ
経理/財務/税務/会計は大きなやりがいを得られる仕事ですが、一方で厳しさもあります。ここでは2つ厳しさを紹介します。
決算期の忙しさ
とくに経理の場合、決算発表なども含め、常にスケジュールや締め切りに追われながらも正確な作業が求められるため、人によっては厳しいと感じるかもしれません。また企業によっては、事業年度の決算月は休日出勤が必要になるケースもあります。
ルーティン業務の多さ
法改正やシステム変更への対応などは求められる一方、日々の業務そのものの変化はあまりなく、細かい作業も多いため、人によっては仕事が単調だと感じてしまうことがあるかもしれません。自分から業務改善を提案するなど行動を起こし、ミスなく効率的に仕事ができる環境を率先して整える姿勢も必要になります。
経理/財務/税務/会計になるには?
職種未経験で経理/財務/税務/会計の職に就くためには、簿記2級資格が必須です。ここでは、そのほかに活かせる資格やスキルを紹介します。
資格を活かして転職する場合
応用資格として、簿記1級または、税理士試験科目の簿記論と財務諸表論の取得を目指す人もいます。
税理士試験に合格するためには、必須となる会計科目(簿記論・財務諸表論)に加え、税法に属する科目から選択した3科目を合わせて、計5科目への合格が必要です。ただし科目合格制が採用されているため、取得したい科目のみ受験したり、合格した科目のみ履歴書に書いてアピールしたりすることもできます。
経理の場合は会計科目のみでも十分といえます。税務にチャレンジするのであれば、法人税法や所得税法など、税法に属する科目のいずれかの取得を目指すのもおすすめです。
英語が得意な方はTOEICの取得(スコア700目安)も有効です。英語力を身につけ、会計でUSCPA(米国公認会計士)を取得する人もいます。
ほかの職種経験を活かして転職する場合
経理なら、税理士法人・会計事務所といったコンサルやアウトソースの立場から、事業会社内の経理職に転職するケースが多いといえます。ソフトやシステムを使いこなすスキルが求められるため、SAPや勘定奉行などの活用経験があればアピールになるでしょう。Excelのスキルも重視されます。
財務なら、金融機関(銀行、証券会社)での経験があれば活かしやすいでしょう。資金調達に携わる際は金融機関と交渉する能力も求められます。また、Excelを活用したデータ分析や売り上げなどの予測、予算管理などの経験もアピールポイントになります。
税務・会計なら、税理士法人や会計事務所などからの転職が一般的です。
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経理/財務/税務/会計の年収
平均年収
平均年収
533.6万円
「企画/管理」系職種の平均年収は517.6万円
「経理/財務/税務/会計」の平均年収は533.6万円で、「企画/管理」系14職種中5番目です。
年収分布
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は400万円台の24%で、次いで300万円台が20%、500万円台が17%となっています。
年間ボーナス
年間ボーナス
120.4万円
夏のボーナス…60.6万円
冬のボーナス…59.8万円
「経理/財務/税務/会計」の年間ボーナスは120.4万円で、「企画/管理」系14職種中7番目です。
経理/財務/税務/会計に転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
34.0歳
「企画/管理」系職種の平均年齢は33.5歳
- この職種の平均
- 「企画/管理」系職種の平均
「経理/財務/税務/会計」に転職した人の平均年齢は34.0歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で32%となっています。
前は何の仕事をしていた?
何回目の転職だった?
「経理/財務/税務/会計」に転職したのがはじめてだった人が37%で最多となりましたが、ほかの「企画/管理」系職種と比べるとはじめての転職の割合はやや少なめです。5回目以上の転職だった人の割合はやや多めの11%となりました。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
日商簿記検定2級
19.6%
-
2
日商簿記検定3級
6.6%
-
3
日商簿記検定1級
2.9%
-
4
宅地建物取引士
2.6%
-
5
建設業経理士(事務士)2級
1.8%
「経理/財務/税務/会計」になった人が保有している資格を調べてみたところ、1位が「日商簿記検定2級」、2位に「日商簿記検定3級」、3位が「日商簿記検定1級」と上位を簿記の資格が占める結果となりました。企業によって資格が必須とされない場合もありますが、スキルの証明となる「日商簿記検定」の資格を、多くの人が保有していることが分かりました。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
726.8点
「経理/財務/税務/会計」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は726.8点で、「企画/管理」系14職種中8番目です。
経理/財務/税務/会計からの転職
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職種一覧
営業の職種(16職種)
企画/管理の職種(14職種)
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金融系専門職(3職種)
コンサルタント/不動産専門職(2職種)
販売/サービスの職種(12職種)
クリエイティブの職種(5職種)
■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人