社内SEとはどんな職種? 仕事内容/年収/転職事情を解説
社内SEの主な仕事は、社内の基幹システムや業務システムおよびインフラ基盤の設計・開発・構築などです。企業によってはIT関連業務のすべてを担当することもあります。業務が多岐にわたるため、具体的な仕事内容をイメージしにくい職種かもしれません。本記事では、社内SEの詳しい仕事内容をはじめ、求められる能力や素質、やりがいについて解説していますので、社内SEへの転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
社内SEの仕事データ
収入
年収
452.2万円
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年収は444.5万円
年間ボーナス
109.5万円
残業・休日
月間残業時間
18.3時間
年間休日
117.0日
社内SEとは?
社内SEはSE(システムエンジニア)の一種で、「自社内」の業務に特化しているのが特徴です。社内システム企画と呼ばれることもあり、システムの開発・運用、ネットワークの管理、セキュリティー対策、社内コミュニケーションの活性化など自社のIT関連業務に幅広く携わります。システムはリリースして終わりではなく、利用方法の周知やトラブルシューティングなどの運用も含まれるため、プロジェクトに長く関与することができるでしょう。
経営層や現場のさまざまな部署と関わり、不満や要望などを取り入れる必要があるため、調整力と推進力が求められます。また、近年ではDX やIT化の急速な対応が求められているため、採用ニーズが高まっているようです。
社内SEの働き方
所属する企業や部署にもよりますが、社内SEは、システムの仕様や開発スケジュールをコントロールしやすいため、ワーク・ライフ・バランスを保ちやすいのが魅力です。
また、社内SEが属するシステム系の部署は本社機能に近いため、支社などに転勤が命じられる可能性は比較的低いといわれています。ただし、製造業のように全国に工場がある企業の場合は、工場勤務の社内SEとして転勤が発生する可能性もあります。
社内SEの仕事内容
社内SEは、基本的に自社内のシステムやインフラ環境に関わる業務を行いますが、企業によって業務の内容や範囲はさまざま。ここでは、社内SEの主な4つの仕事内容を見ていきましょう。
システムの企画・導入
経営戦略やIT戦略に基づき、経営課題を解決したり、事業の拡大を実現したりするため、ITシステムの企画段階から携わります。大まかな流れは下記のとおりです。
①自社の業務を分析し、どこまでシステム化すべきかを洗い出す
↓
②業務をシステム化する目的と効果を明確にする
↓
③スケジュールと予算を算出し、決裁者に提案する
↓
④立案した計画に沿ってシステムを導入する
業務をシステム化する具体例として、これまで紙で管理していた商品の在庫をデジタル化したり、タイムカードで記録をつけていた勤怠管理を入館証と連動させて自動化したり、などがあります。
決裁が下りたら、立案した計画に沿ってITシステムの導入を進めます。自社で一から開発するのか、既存パッケージを導入するのかによって対応が異なります。
システムの設計、開発
自社でシステムを開発する場合、システムおよびインフラの設計から開発・テストまで社内SEが一貫して行います。ただし、AIシステム開発など専門性の高い技術力を要する場合は、システム開発を外注するケースも。この場合は、進捗管理や品質管理を社内SEが担当します。
また、社内SEの人員が少ないなどの理由から、自社だけで完結させるのが難しい場合、既存パッケージの導入や開発をベンダーに依頼することもあります。ベンダーとは、IT関連のサービスや製品を提供する企業のこと。ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションなどを展開しています。ベンダーに依頼する際には、社内SEがスケジュールやコスト調整を担当します。
システムの運用・保守
社内SEの仕事は、システムの開発や導入をすれば終わりではありません。導入後のシステムに障害が起きないよう、運用と保守をすることも重要です。
ネットワークや自社サーバに不具合が起きると、クラウドサービスにアクセスできなくなったり、メールの送受信ができなくなったりと業務がストップしてしまいます。そのような事態を防ぐためにシステムを監視し、もしトラブルが発生したときにはいち早く状況を見極めて復旧作業に当たります。
社員からの問い合わせ対応
ヘルプデスク業務を社内SEが担当するケースもあります。「PCの設定がうまく進まない」「システムにログインできない」など、さまざまな問い合わせに対応します。
社内SEとSEの違い
社内システムに携わるのが社内SE、社外のクライアント向けのシステム開発をするのが一般的なSEです。ここではさらに深掘りして、所属先や業務範囲、業務期間の違いについて見てみましょう。
所属先
社内SEは業界を問わずさまざまな企業・組織のIT部門に在籍しています。一方のSEは、ITが専門のベンダー企業に属していることが多く、顧客の要望を形にするクライアントワークがメインです。
業務範囲
社内SEは、社内向けのIT全般を幅広くカバーして自社の業務改善に寄与します。システムの企画を立てたり、戦略を練ったりする上流工程からリリース後の運用・保守までに関わるのが特徴です。対してクライアントワークがメインのSEは、システム開発に特化している傾向があります。
業務期間
社内SEは、長期間にわたって同じシステムの運用・保守に関わり続けます。対してSEは案件単位で動いているため、1つの開発が完了すればまた別の案件に移行する、または並行して取り組むといった点が大きく異なります。
以上が主な違いです。社内SEとSEは立場の違いから役割が異なるものの、同じエンジニア職種であることに変わりはありません。そのため、必要なスキルは重複する部分が多く見られます。
社内SEに求められる能力・素質
どのようなスキルがあれば、社内SEに向いている人といえるのでしょうか。必要な能力や素質について解説します。
コミュニケーション力
社内SEの仕事は、社内外のさまざまな立場の人とやりとりをする場面の連続です。社員はもちろんのこと、経営層、外注先のベンダー企業との折衝能力も求められます。
それぞれの立ち位置で要望が異なることも多く、できること・できないことの取捨選択を行わなくてはなりません。そのため、意見の対立を恐れず、ロジカルに対話できるコミュニケーション力が必要です。
マクロ的視点
人手不足や生産性向上が叫ばれている昨今、DX化による業務改善はどのような企業でも急務です。経営視点を持って自社を取り巻く環境を俯瞰し、どの部分から改善を始めるのが最適なのかを、役員や会社のトップと議論しながら策定していく力が必要になることがあります。
忍耐力
社内SEとして特に工数がかかるのは運用・保守の工程です。システムを安定稼働させるために、計画的なメンテナンスや機能修正などを行います。時にはトラブル対応など、緊急性の高い業務もこなさなければなりません。これらの業務は表立った成果として見えづらく、縁の下の力持ちの役割であるため、どのような場面でも問題から逃げずに取り組み続ける忍耐力が重視されます。
プロジェクトマネジメント力
プロジェクトを成功させるためには、システムの品質、導入から運用までにかかるコスト、スケジュール、必要な人員などを管理し、進捗状況をマネジメントする力が必要です。スピーディーにシステムの導入を進められるかどうかは、社内SEのマネジメント力にかかっています。
社内SEのやりがい
社内SEは自社の事業と密接に関わるため、責任が求められる分、やりがいも大きい職種といえます。次のようなやりがいを感じることが多いようです。
システム開発に一貫して携われる
社内SEはシステム開発のきっかけとなる自社の課題を突き止め、業務改善や業績向上に努める仕事です。社内の要望や企画の段階から最終的なサービスリリースまで、開発のすべての工程に一貫して携われます。また、一般的なSEはシステム開発が完了すれば手が離れてしまいますが、社内SEは開発後の運用工程まで担います。システムを利用する社員の反応を見られるのは、社内SEならではの醍醐味といえるでしょう。
達成感がある
システムのエンドユーザーである社員との接点が多く、リリース後の成果や効果をダイレクトに感じられます。開発したシステムによって、「便利になって業務効率が上がった」「業績がアップした」というように感謝される経験が達成感となり、会社に貢献していることを強く実感できるでしょう。
社内SEの厳しさ
社内SEという職種はやりがいと魅力がある一方で、厳しい面もあります。例えば、次のような場面で厳しさを感じやすいようです。
法律や会社独自のルールを把握する必要がある
システムは法律や社内規則に沿って開発しなければならないため、専門的な知見が求められます。また、関連する法律やルールはしばしば変更が加わるので、知識のアップデートを積極的に行わなければなりません。日々の業務だけで手いっぱいになってしまうと、知識をインプットする時間が確保できないという壁に突き当たるかもしれません。
自社のIT業務全般に対して責任を持つ
自社の事業運営と密接に関わるシステムを扱うため、ひとたびシステム障害が発生すると全社的な事業活動にダメージを与えるリスクがあります。たとえ自社開発したシステムでなかったとしても、使用するシステムは責任を持つ必要があるため、その重圧に対して厳しさを覚えるかもしれません。
社内SEになるには?
ITエンジニア職全体の求人数は増加傾向にあり、社内SEの採用活動にも熱が入っている状況です。企画段階から携わる上流工程のポジションをはじめ、上流工程から運用・保守まで幅広く担当するポジションなど求人の種類はさまざま。中には経験が浅くても、運用・保守から経験を積み、ゆくゆくは上流工程へキャリアアップを目指せるという求人も存在します。
活かせる職歴や経験
社内SE経験がなかったとしても、転職できる可能性はあります。コミュニケーション力が必要とされる職種のため、これまでのキャリアで折衝した経験を活かすことが可能。歓迎される職歴としては、IT営業、ITコンサルタント、SIerのほか、業務システム開発に携わってきたエンジニア、プリセールスなどが挙げられます。
転職に活かせる資格
社内SEになるために学歴や資格の有無は問われませんが、基本的にプログラミングの知識は必要です。持っていると活かせる資格として、ITエンジニアの登竜門と呼ばれる「基本情報技術者」、マイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明する「MOS」などのIT関連資格、プロジェクトマネジメントに関する国際資格「PMP」をはじめとしたマネジメント関連資格などが挙げられます。
社内SEのキャリアパス
社内SEとしてキャリアをスタートした後は、次のような道筋が挙げられます。
管理職としてキャリアアップ
ヘルプデスクやシステム運用・改修などの定常・定型的な業務からスタートし、IT・デジタル技術を用いて業務改善する取り組みの企画業務へとステップアップします。さらに経験を積むと、全社にわたるIT戦略の企画・立案・推進やその予算管理など、社内で影響範囲が大きい業務を担当。プロジェクトを推進する中でマネジメントスキルが評価されると、IT部門全体を取りまとめる管理職への道が開けます。
ほかのエンジニア職
幅広いIT領域の知識を扱うため、アプリ系のエンジニアやサーバエンジニアなどほかのエンジニア職として活躍する道もあります。スキルの高さを証明するためにも、「情報処理技術者」などの国家資格や、実務に活かしやすいベンダー資格を取得するとよりよいでしょう。
ITコンサルタント
ITを活用し、企業の経営課題を解決する職種です。社内SEとの共通点が多く、システム導入に当たっては社内SEとして培った経験やスキルを十分に活かすことができます。
社内SEへの転職に役立つ関連コンテンツ
ここまで、社内SEという職種の実態について解説してきました。仕事内容がクリアになったり、SEとの違いが分かったりと、自分が社内SEとして働く姿をイメージしやすくなったのではないでしょうか。
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社内SEの年収
平均年収
平均年収
452.2万円
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年収は444.5万円
「社内SE」の平均年収は452.2万円で、「IT/通信系エンジニア」12職種中7番目です。
年収分布
- この職種の平均
- 「IT/通信系エンジニア」職種の平均
未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
万円未満
以上
最も多い年収帯は300万円台の29%で、次いで400万円台が21%、300万円未満が16%となっています。
年間ボーナス
年間ボーナス
109.5万円
夏のボーナス…54.9万円
冬のボーナス…54.6万円
「社内SE」の年間ボーナスは109.5万円で、「IT/通信系エンジニア」12職種中7番目です。
社内SEに転職した人はどんな人が多い?
転職年齢
転職年齢
33.0歳
「IT/通信系エンジニア」職種の平均年齢は31.5歳
- この職種の平均
- 「IT/通信系エンジニア」職種の平均
「社内SE」に転職した人の平均年齢は33.0歳です。年齢の内訳を見ると最も多い年齢層は25~29歳で33%となっています。
前は何の仕事をしていた?
順位
職種
割合
-
1
34.5%
-
2
25.4%
-
3
6.3%
-
4
5.3%
-
5
4.7%
転職前の職種も同じ「社内SE」が34.5%で最多です。2位以下も同じ「IT/通信系エンジニア」職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をした人が多いことが分かります。
何回目の転職だった?
「社内SE」に転職したのがはじめてだった人が46%で最多となりました。
どんな資格を持っている?
順位
資格
割合
-
1
基本情報技術者試験
8.4%
-
2
ITパスポート
5.5%
-
3
ITIL資格認定試験Foundation Certification
3.5%
-
4
応用情報技術者
2.8%
-
5
シスコ技術者認定CCNA
2.6%
「社内SE」になるために必須の資格はありませんが、仕事に直接役立つと考えられる「基本情報技術者試験」や、スキルアップ、キャリアアップに必要な資格を取得している傾向が見られました。
TOEIC(R)スコアの平均は?
TOEIC
659.0点
「社内SE」におけるTOEIC(R)受験者の平均点は659.0点で、「IT/通信系エンジニア」12職種中7番目です。
社内SEからの転職
次に就いたのはどんな仕事?
順位
職種
割合
-
1
50.3%
-
2
14.7%
-
3
7.8%
-
4
5.5%
-
5
5.0%
「社内SE」の次に就いた職種も同じ「社内SE」が50.3%で最多で、半数以上の人が同じ職種に転職しています。2位以下も同じ「IT/通信系エンジニア」職種が多く、培ったスキルや経験を活かして業界や企業を移る転職をする人が多いことが分かります。
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■平均年収、男女比、転職希望者の年齢
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約700,000人
■TOEIC(R)テストの点数、持っている資格
- 調査対象
- dodaサービスに登録した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2019年7月~2020年6月
- 有効回答数
- 約310,000人
■転職後の職種、転職した人の年齢、転職回数
- 調査対象
- dodaエージェントサービスを利用して転職した
ビジネスパーソン
- 調査期間
- 2020年7月~2021年6月
- 有効回答数
- 約26,000人
■冬のボーナス・夏のボーナス、残業時間、年間休日
- 調査対象
- 20~59歳、正社員のビジネスパーソン
- 調査方法
- ネットリサーチ会社を利用した
インターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースを
元に実施、doda会員登録は不問)
- 調査期間
- 2021年8月
- 有効回答数
- 15,000人